夜明けが世界を染めるころ
「では、セナ。この前の一件、尽力ありがとう」
「いえ、首謀者については分からないのですか?」
「そうだね……まあ、敵が多すぎて、いちいち気にもしていられないよ」
もちろん、一番の敵が誰かは分かっているのだが、それを口にするつもりはない。
「そうですか」
「君の主人は、とてもかっこいいね」
無表情だった彼の顔に、口元がふっと緩む瞬間を私は見逃さなかった。
……罪深い女性だな、と思う。
「ただ、ベランダをドレスで飛び移るのはやめた方がいいと、伝えてくれるかい?」
「……非常に同意見です」
彼女のお転婆ぶりには、彼も少し困っている様子。
「一つ聞いてもいいですか?」
セナが真剣な表情を向ける。
「私が答えられることならね」
「お嬢様が宝石事件について調べていることは知っていますよね?」
「ああ、この前会った時にそんな話をしたね」
「王国騎士団の管轄になったのだから、お嬢様の行動を制限できる立場にありますよね、どうしてそうなさらないのですか?少なからずお嬢様を好意的に思っていますよね」
さすがティアナ嬢がそばに置く騎士だ。
鋭い質問だ。
少し間を置いて、私は視線を彼から外し、遠くの建物を眺めるふりをした。
「制限することで解決するものなら、とうの昔にやっているさ」
セナの眉がわずかに動く。
「……つまり、お嬢様の行動を見守るという選択ですか?」
「そうだ」
言葉に迷いはないつもりだったが、胸の奥がざわつくのを隠せない。
あの子――ティアナ嬢――が何か大きなことを成し遂げようとしているのを見ると、守りたくなる衝動に駆られる。
そして、それが自分の理性をほんの少しだけ揺さぶるのだ。
彼女を制御することを彼女は望んでいないからだ。
「わかりました、殿下。お気をつけて」
彼も彼女の身を案じながらも彼女がそうされることを望んでいないことをわかっているのだろう。
微かに焦りのような感情と混じっているように感じた。
「ありがとう、セナ」
「お嬢様には会っていかれないのですか?」
「色々聞かれそうだからね」
まあ、また近いうちに会えばいいだろう。
そういうとセナが一歩下がり会釈した。
「いえ、首謀者については分からないのですか?」
「そうだね……まあ、敵が多すぎて、いちいち気にもしていられないよ」
もちろん、一番の敵が誰かは分かっているのだが、それを口にするつもりはない。
「そうですか」
「君の主人は、とてもかっこいいね」
無表情だった彼の顔に、口元がふっと緩む瞬間を私は見逃さなかった。
……罪深い女性だな、と思う。
「ただ、ベランダをドレスで飛び移るのはやめた方がいいと、伝えてくれるかい?」
「……非常に同意見です」
彼女のお転婆ぶりには、彼も少し困っている様子。
「一つ聞いてもいいですか?」
セナが真剣な表情を向ける。
「私が答えられることならね」
「お嬢様が宝石事件について調べていることは知っていますよね?」
「ああ、この前会った時にそんな話をしたね」
「王国騎士団の管轄になったのだから、お嬢様の行動を制限できる立場にありますよね、どうしてそうなさらないのですか?少なからずお嬢様を好意的に思っていますよね」
さすがティアナ嬢がそばに置く騎士だ。
鋭い質問だ。
少し間を置いて、私は視線を彼から外し、遠くの建物を眺めるふりをした。
「制限することで解決するものなら、とうの昔にやっているさ」
セナの眉がわずかに動く。
「……つまり、お嬢様の行動を見守るという選択ですか?」
「そうだ」
言葉に迷いはないつもりだったが、胸の奥がざわつくのを隠せない。
あの子――ティアナ嬢――が何か大きなことを成し遂げようとしているのを見ると、守りたくなる衝動に駆られる。
そして、それが自分の理性をほんの少しだけ揺さぶるのだ。
彼女を制御することを彼女は望んでいないからだ。
「わかりました、殿下。お気をつけて」
彼も彼女の身を案じながらも彼女がそうされることを望んでいないことをわかっているのだろう。
微かに焦りのような感情と混じっているように感じた。
「ありがとう、セナ」
「お嬢様には会っていかれないのですか?」
「色々聞かれそうだからね」
まあ、また近いうちに会えばいいだろう。
そういうとセナが一歩下がり会釈した。