余命2ヵ月のわたしを愛した死神
すっかり温まり、お風呂を済ませたわたしは、フカフカのバスタオルで全身を拭いていく。
(どうやって洗ったら、こんなにフカフカのタオルに仕上がるんだろう。)
わたしはそんな事を考えながら、そのタオルでお湯がたっぷり染み込んだ髪の毛をタオルドライしていき、それから雨城さんに借りた着替えに手を伸ばした。
普段雨城さんが着ているのであろう白い無地のTシャツ。
生地は少し厚めで、これであれば透ける事もないだろうと安心できるようなTシャツだ。
しかし広げてみると、当然ではあるのだが、わたしにはサイズがかなり大きい。
サイズは、メンズのLサイズといったところだろうか。
試しに着てみたが、やはりわたしには大き過ぎて、丈の短いワンピースのようになってしまった。
自宅であれば、そのTシャツ一枚で過ごすところだが、雨城さんを前にしてその姿でいるわけにもいかず、わたしは借りていた下のスウェットも穿いてみた。
すると、自分でも笑けてしまう程に丈が長過ぎて、大人の服を着てしまった子ども状態だ。
わたしは何とか着こなそうと、スウェットのウエスト部分を何度か折り込んだ。
そうしてみると、何とか無理矢理ではあるが、自分なりには雨城さんの服を着こなせているような気がした。
そう、自分でその気になっているだけだ。
もうこれ以上はどうにもならないと諦めたわたしは、その姿で恥ずかしながらもバスルームから出て、雨城さんが待つリビングへと向かった。
「お風呂、ありがとうございました。」
そう言ってリビングを覗くと、そこにはソファーに座りながらテレビでニュースを見ている雨城さんの姿があり、雨城さんはわたしの声でこちらを向いた。
わたしの姿を見た雨城さんの反応が気になり、わたしは思わず挙動不審になってしまう。
雨城さんはわたしを見ると、「やはり、サイズが大き過ぎましたよね。」と笑うでもなく、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「いえ、貸して頂けただけでも有難いです。逆にわたしなんかが雨城さんの服を借りてしまって···申し訳ないくらいで。」
わたしがそう言うと、雨城さんはソファーから立ち上がり、こちらへ歩み寄って来た。
そして、わたしの目の前で足を止めると、雨城さんは「でも、可愛らしいですよ。自分の服を女性が着ると、こんな感じになるんですね。」と言い、優しく微笑んでくれた。
――――可愛らしいですよ。
その言葉に照れてしまい、何と言い返したら良いのか言葉に困るわたしは、笑って誤魔化す。
わたしは困ると、すぐに笑って誤魔化してしまう癖があるのだ。
雨城さんはそんなわたしに「温まりましたか?」と声を掛けてくれ、わたしは「はい、とっても良いお湯でした。」と言って、何とか恥ずかしさから抜け出す事が出来た。