余命2ヵ月のわたしを愛した死神

「本当に、申し訳ありません······」

そう言って、わたしに向かい深く頭を下げる雨城さんの姿に、わたしは胸が痛くなった。

でも、よく考えてみれば、雨城さんは何も悪くない。
ただ指令が来て、それを遂行しなければならない立場なのだ。

わたしは一瞬、雨城さんの事さえ敵に見えてしまったが、それは違うと思った。

(雨城さんは、何も悪くないよね。)

「ちょっと、質問いいですか?」

わたしはそう言い、雨城さんに純粋に疑問に思った事を訊いてみる事にした。
雨城さんは申し訳なさそうな表情を崩す事なく「はい。」と答えてくれた。

「わたし、死神って、骸骨が黒いマントを着てて、鎌を持ってるイメージがあったんですけど、それは違うんですか?」
「そうですね、基本的には骸骨ではなく、どの死神も人間と同じような姿をしています。ただ、任務を遂行する時だけ鎌は使いますね。」

雨城さんの話を聞き、現実味の無い話ではあるが、「へぇ〜」とどこか楽しくなってきている自分がいた。

どうしてだろう。
自分の余命を知らされたばかりなのに、怖くない。

「死神は、みんな人間の姿をして、この世界で暮らしているんですか?」
「いえ、僕のように人間として暮らしている死神は稀です。ほとんどの死神は、任務の時だけ天から降りてきて、遂行してから戻って行きます。」
「へぇ···、でもどうして人間に扮してる死神と、そうじゃない死神がいるんですか?」

わたしは何だか"死神"に興味が湧いてきて、雨城さんに質問攻めしてしまう形となっていた。
それでも雨城さんは、嫌な顔せずに丁寧にわたしの質問や疑問に答えてくれた。

「ある一定の霊格まで上がると、人間界の情報を集める任務も与えられるので、人間に扮しながら生活をして情報回収をしながら、指令がきた時に任務を遂行しています。」
「って事は、雨城さんは霊格が高いって事ですか?」

わたしがそう訊くと、雨城さんは少し照れくさそうに「まぁ、そういう事になりますかね。」と答えていた。

「何か、わたしの知らない世界があるだなんて···、そういう話はあまり聞いた事がなかったので、不思議です。」
「そうですよね。」
「あっ、それじゃあ、どうして賢司さんとその話をしてたんですか?もしかして、賢司さんも死神って事ですか?」

わたしがハッとしながらそう訊くと、雨城さんは首を横に振り「いえ、賢司さんは普通の人間ですよ。ただ、かなり霊格の高い人間なので、普通の人では視えないものが視えてしまうタイプの方のようです。」と、話してくれた。

それはつまり、簡単に言うと"霊感がある"人間という事のようだ。
< 36 / 105 >

この作品をシェア

pagetop