余命2ヵ月のわたしを愛した死神
洗濯を終えてすぐに乾燥機に回せば間に合うだろうか。
そんな事を考えながら、わたしはドラム式洗濯機の前にしゃがみ込み、洗濯機の中で回る洗濯物たちを待ち構えていた。
すると、そんなわたしに気付いた雨城さんが「雫さん?何をしてるんですか?」と洗面室を覗きにやって来た。
わたしは雨城さんの声に振り返ると、「実は、着替えを全て洗濯してしまって···」と苦笑した。
「あぁ···、それは着替えがない、という事ですか?」
不思議そうに問う雨城さんの言葉にわたしは「はい。」と返事をする。
雨城さんは「それなら、僕のを貸しますよ。」と当然のように言ってくれたのだが、わたしは覚えている。
雨城さんの服がわたしには大き過ぎて、ワンピース状態になってしまう事を···――――
「あ、でも、すぐ乾燥機で回せば···」
「すぐ乾燥機で回しても、終わるのは深夜になってしまいますよ?」
その雨城さんの回答に(···確かに。)と納得してしまう自分が居たが、どうしても迷ってしまう。
近頃は暑くなってきて、ワンピース状態になるTシャツの下にスウェットを着ると確実に寝苦しくなってしまう。
しかし、Tシャツ一枚の姿を雨城さんに見せるのは、どうなのだろうか。
色々考えて迷った挙句、わたしが出した決断は······
「じゃあ、Tシャツだけ···お借りしてもいいですか?」
思い切ってTシャツ一枚のワンピース姿になる事だった。
そしてお風呂が沸き、わたしは先にお風呂をいただく事になった。
雨城さんの黒いTシャツを借り、わたしは一人で浴室へと入る。
大きな浴槽に足から入り、わたしは膝を抱え小さくなりながら肩までライム色の湯船に浸かった。
その中で考えるのは、お風呂から上がった後に着る雨城さんのTシャツの事ばかり。
あんな姿で雨城さんの前に現れて、はしたないなんて思われないだろうか。
しかし、人間の姿をしているとはいえ、雨城さんは死神だ。
死神は、女性の姿から欲情する事はあるのだろうか。
と、そんな事を考えてしまう自分に恥ずかしくなる。
(いやいや、わたしは色気の欠片も無いし、大丈夫。変な心配なんてする必要ない。)
わたしは自分の中で呪文のようにそう唱え、不要な心配だと自分に言い聞かせた。