余命2ヵ月のわたしを愛した死神
まだ冷えていたと思った唇は、見る見る内に熱くなっていく。
そして、わたし自身も身体の奥深くから熱が込み上げてくるのを感じていた。
しかし、わたしは少し調子に乗り過ぎてしまったようだ。
(······あれっ?)
一気にクラ付く頭と揺らぐ視界。
その瞬間、わたしの異変にすぐ気付いた雨城さんは、唇を離すと「···雫さん?」とわたしの顔を覗き込んだ。
(あぁ···、これはダメなやつだ。)
そう思った瞬間に、わたしはフッと意識が飛んでしまった。
気付けばわたしはバスタオルに包まれながら、リビングのソファーの上に寝そべっており、まだぼやけ見上げた視界の中には、わたしに向けて涼やかな風を送る白いエアコンの姿が見えた。
「大丈夫ですか?」
そう言ってわたしの傍にしゃがみ込み、心配そうにわたしを見守る雨城さんは、わたしの額に冷水で冷やしたタオルを置いてくれた。
「すいません······」
わたしが自分を情けなく思いながら、そう謝ると、雨城さんは微かに首を横に振り「申し訳ありません。僕がやりすぎてしまいました。」と言い、小さく頭を下げた。
「いえ、わたしも少し調子に乗ってしまいました。」
わたしはそう言うと、恥ずかしさから笑って誤魔化す。
すると、雨城さんもわたしにつられて、クスリと笑っていた。
「ついつい、雫さんを求め過ぎてしまいました。」
「それは、わたしも同じです。」
そう言って、わたしたちは照れ笑いを浮かべ合った。
何とも情けなく恥ずかしい展開ではあったが、まだぎこちなさを残すわたしたちらしいとも思ってしまう。
それからしばらく休ませていただき、クールダウンしたわたしたちの耳に、突然何かが破裂するような大きな衝撃音が飛び込んできた。
「えっ、今の何ですか?」
驚きながら、少し身体を起こすわたしに、雨城さんは「あぁ。」と、その音の正体を知っているようだった。
「雫さん、起きられそうですか?」
「はい、もう大丈夫です。」
「では、こちらへ。」
そう言ってソファーから起き上がるわたしに、すぐ傍に置いてあった自分のワイシャツをわたしに羽織らせる雨城さんは、わたしがソファーから立ち上がる手伝いをしてくれた。
それから鳴り続ける大きな衝撃音を確認しようと、雨城さんに連れられベランダへと出る。
すると、そこからは···――――
「わぁっ···!綺麗ぇ···!」
マンションのベランダから見えるずっと向こう側に、キラキラと煌めく花火が上がって見えたのだ。
「今日が花火大会なのをすっかり忘れていました。」
そう言いながら、雨城さんは隣でわたしの肩に腕を回す。
何度も打ち上がる豪快で綺麗な花火に見惚れていると、何処からか「あ〜ら!あんたたちも見てたのぉ?」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
その声にふと右側を向くと、そこにはお隣のベランダから顔を出し手を振る、賢司さんと純一さんの姿が見えたのだ。