余命2ヵ月のわたしを愛した死神
「あっ!賢司さん!純一さん!」
わたしは久しぶりに見る賢司さんと純一さんの姿に心が弾み、笑顔で手を振り返した。
すると、「あら、やだ!」と言いながら、口元を手で隠す賢司さんが「あなたたち、もしかして事後?」と訊いてきたのだ。
「やだぁ!賢ちゃん、そんな事ストレートに訊いちゃダメよぉ!お隣さんには、お隣さんの事情があるのよ!」
そう言う純一さんの低音が響いたと思えば、賢司さんもハッと何かを悟るかのように「あら!ごめんなさい!」と謝っていた。
わたしも自分で気付くのが遅れてしまったが、わたしは今、バスタオルにワイシャツ姿だったのだ。
はたから見れば、どう見ても"事後"のように見えてしまうだろう。
「あ!いや!違うんです、賢司さん!これは!」
わたしは恥ずかしさから誤解を解こうと必死になったが、賢司さんは「別に恥ずかしがる事ないじゃな〜い?とっても大切な事よ!」と言い、全く誤解が解けぬままになってしまった。
「それより、みんな!花火、今のうちに見ておかないと、終わっちゃうわよ〜!」
純一さんのその言葉で、再びみんなの視線が花火に戻る。
「綺麗ね〜!」
「ここで花火大会が見れるなんて、最高ですね!」
「でしょ〜?これがこのマンションの一番の良いところなのよぉ!」
そんな会話をしながら、4人で見る初めての花火大会。
わたしの瞳には、しっかりと七色に煌めく花火が焼き付き、その最中に雨城さんがわたしの肩を抱く温もりもハッキリとわたしの身体は覚えたのだ。
今日は本当に最高の一日だった。
途中、思わぬハプニングもあったが、それさえも良い思い出に感じられる程、充実していて幸せな一日だった。
わたしがこの先、いつかこの肉体から離れる時がきても、この日の事はずっと忘れないだろう。
魂だけになってもこの思い出が消える事はない。
そう確信したのだった。