余命2ヵ月のわたしを愛した死神
「それでは、船田さん。大変申し訳ないのですが、新たな担当者、芽吹を迎えるに当りまして、再度今回のプロジェクトの詳細をご説明頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
篠原さんの促しにより、プロジェクトの説明をする流れとなった船田さんは、表情を強張らせながらわたしをチラ見し、仕方なく「···はい、分かりました。」と言って、資料を開いた。
「えーっと···、改めまして、今回のプロジェクトリーダーを、努めさせて頂きます···船田と申します。宜しくお願い致します。」
船田さんは発する言葉からも緊張が伝わってくる程、ぎこちなく挨拶をし、篠原さんとわたしは「宜しくお願い致します。」と会釈をした。
「えー···、弊社発信で今回やらせて頂くプロジェクトについてですが、"リサイクルプロジェクト"という、そのぉ、簡単に申し上げますと、日本で使わなくなった文具を回収して、海外の学校へ寄付するという内容になっております。」
船田さんはそこまでを話すと、篠原さんとわたしの反応を窺うかのように、視線を資料からこちらへ向けた。
しかし、説明が不十分だった為、篠原さんとわたしはその先の言葉を待った。
船田さんはそんなわたしたちの様子に狼狽え、資料へ視線を戻すと、ページを捲り、次は何を話そうか迷っているようだった。
そこでわたしは、船田さんに向けて質問を投げ掛ける事にした。
「船田さん、質問よろしいですか?」
わたしがそう言い小さく手を上げると、船田さんは自信無さげに「···はい。」と返事をした。
「日本で使わなくなった文具を回収、との事ですが、どのような場所から回収する予定ですか?」
「あっ、えっと······」
船田さんはわたしの質問に動揺しながら、資料の中から回答を探し始めた。
その姿を見て、わたしは(そんな事も、すぐに答えられないのかぁ······)と呆れてしまった。
「えっとぉ···、あっ、学校、とかですね。」
船田さんの口からやっと出て来た回答は、資料に書かれている『学校』、それだけ。
その回答に不満を感じたわたしは、更に「他には?」と問い詰める。
しかし、資料には『学校など』としか記載していない為、その他の情報が船田さんの口から出て来ない事をわたしは分かっていた。
「他には······」
「船田さんは、このプロジェクトのリーダーなんですよね?それなのに、"学校"以外に具体例が出て来ないんですか?」
わたしがそう言うと、船田さんは瞬きが多くなり、黙り込んでしまった。
そんな船田さんの様子を隣に座る真田さんは、不思議そうな表情を浮かべ見ていた。
「それでは次に、海外の学校に寄付するという事ですが、どちらの国を視野に入れていますか?」
わたしは質問を変え、船田さんに問い掛けてみたのだが、船田さんは一向に口を開く素振りを見せず、黙り込んだまま俯いてしまった。