余命2ヵ月のわたしを愛した死神

すると、そこへ篠原さんも畳み掛けるように船田さんに問い掛けた。

「あれ、おかしいですね。前回の打ち合わせの時に、僕も芽吹さんと同じような質問をしたのですが、船田さんから回答が得られなかったので、次の打ち合わせまでには確認しておくという、お約束でしたよね?」

篠原さんが穏やかなようで強めの口調でそう訊くと、困った船田さんは「真田くん、調べておいてくれたの?」と真田さんに責任を押し付けようとし始めた。

その事に「えっ、僕ですか?」と焦り出す真田さんの様子を見るに、そのような指示はされていなかったのだろう。
船田さんは相変わらずなようだ。

「いえいえ、船田さん。僕は、真田さんではなく、船田さんに訊いているんですよ?もしかして、僕との約束をお忘れでしたか?」

嫌味たっぷりにそう言う篠原さんは、恐怖の微笑みを浮かべている。
その篠原さんの微笑みは、わたしでさえも恐ろしいと感じてしまう程だ。

「このプロジェクトリーダーは、船田さんなんですよね?それなのに、リーダーが全て答えられないのは問題ではないですか?発案者も船田さんだとお伺いしておりましたが、まさか···違うんですか?」

篠原さんは、船田さんをかなり追い込む発言をする。

追い込まれた船田さんは、もう限界を感じたのか「申し訳ありません······」と赤面しながら謝ると、資料を閉じ、席から立ち上がってしまった。

「出直して来ます。本日はお時間頂き、ありがとうございました。失礼致します。」

船田さんは、そう言い深く一礼すると、足早に会議室から立ち去って行った。
そんな突然の船田さんの行動に驚く真田さんは、「あっ、し、失礼します!」と言い、慌てて船田さんのあとを追って行った。

会議室に残されたのは、篠原さんとわたしの二人だけ。

慌てて帰る船田さんと真田さんを見送ったわたしたちは、顔を見合わせると笑いが堪えきれず、笑みを浮かべながらハイタッチをしたのだった。


その後、わたしは篠原さんと共に小休憩所に移動した。
そこの自動販売機でわたしはミルクティーを購入し、篠原さんは缶珈琲を購入して、グビッと喉を鳴らせながら一気に飲み干していた。

「っぱぁー!打ち合わせ後の缶珈琲は最高だね!」

そう言う篠原さんの隣でわたしは「あれは、打ち合わせと呼べるものなんでしょうかね。」と苦笑いを浮かべながら、缶のプルタブ引いた。
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