余命2ヵ月のわたしを愛した死神

「んー、なんていうのかしらぁ···、なんかこう、オーラっていうの?それが普通の人間と違って視えたのよぉ。今まで雫ちゃんには話した事無かったけど、あたしって視えないものが視えちゃうタイプのオカマじゃない?」

賢司さんはそう言うと、自分の胸に手を当てた。

「それで、初めて来てくれた日からピアノを弾いてくれてぇ、それに聴き惚れちゃったあたしが、今後もピアノを弾きに来てくれないか声を掛けて、仲良くなってきたタイミングで、あんた普通の人間じゃないでしょ?って訊いてみたら···ビンゴだったのよぉ〜!」

そこまでを早口で話していった賢司さんの言葉を、わたしはコーンスープをすすりながら、一言一句聞き逃さなかった。

賢司さんの話を聞き、賢司さんは本当に霊感の強い人なんだなぁと改めて尊敬の念を抱いてしまう。
確か雨城さんは"霊格が高い人"と言っていた記憶があった。

「最初に会った頃の慧仁くんは、全く笑わない人でねぇ。あたしと仲良くなっていく内に、徐々にではあるけど、表情が柔らかくはなっていったけど···、あの頃の慧仁くんから見たら、今は別人ね!やっぱり、愛の力ってやつかしら!」

賢司さんはそう言って、両手で自分の頬を包み、うっとりするような表情を浮かべていた。

「って、やだぁ!あたしったら、一人でお喋りし過ぎちゃったわね!」

そう言い、「ふふっ!」と笑う賢司さんは、「あたしはちょっと仕事して来るから、雫ちゃんはゆっくりしてて!何かあったら、呼んでねぇ!」と言うと、カウンターの裏側へと姿を消して行ったのだった。

――――愛の力···

賢司さんの言っていた"愛の力"とは、具体的には何を指すのだろう。

わたしは今、雨城さんと恋人関係にはあるけれど、わたしは雨城さんから"愛"や"癒し"、"喜び"をもらってばかりで、わたし自身は雨城さんに何のお返しも出来ていない。

(わたしも何か、雨城さんにお返しをしたいなぁ。)

そんな事を考えながら、わたしは丁度良い温度になったコーンスープを口へ運んでいき、少しも残す事無く食べ切った。
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