余命2ヵ月のわたしを愛した死神
その後は言うまでも無く、感情が昂ったわたしたちはお互いを求め合った。
雨城さんが触れる度に過剰に反応してしまうわたしの身体は、雨城さんの全身から降り注がれる愛情を精一杯受け止める。
少しも逃すまいと、頭ではなく心で感じるままに必死になり、自分がどう雨城さんと向き合っていたのか···――――あとから思い返せば、恥ずかしくなってくる事は間違いなかった。
それでも、わたしは身も心も雨城さんによって満たされていった。
雨城さんの唇の柔らかい感触に、熱が帯びた手のひら、耳元を掠める熱い吐息、身体の奥底から打ち抜かれるような感覚に近い陶酔にわたしは恍惚とした。
二人同じタイミングで脱力した時には、意識が一瞬朦朧としかけたが、額に汗を滲ませた雨城さんの顔がわたしのすぐ目の前に映し出された時、愛おしさから意識を取り戻せた気がした。
わたしは汗が滲む雨城さんの頬に手を触れると、乱れた呼吸を整えようと隣で瞳を閉じる雨城さんを見つめる。
雨城さんはゆっくりと瞼を開けると、優しく微笑み「手に汗がついてしまいますよ。」と囁いた。
「わたしも汗だくなので、構いませんよ。」
「こんなに汗をかいたのは、初めてです。」
そう言って小さく笑う雨城さんは、わたしに腕枕をする形で抱き寄せた。
二人の汗が交わり、汗くささなど気にならない。
ただそこには、幸せに満たされた心と空間しかなかった。
「何だか、不思議な気持ちです。これが···幸せってやつなんでしょうか。」
雨城さんはそう言いながら、わたしの髪を撫でる。
わたしはそんな雨城さんの手のひらを感じながら瞼を閉じ、「わたしも、こんなに幸せを感じたのは初めてです。」と言った。
「じゃあ、お互い初体験ですね。」
「そうなりますね。」
そう言い合って、わたしたちは静かに笑った。
それからわたしたちは、幸せに満ちたまま眠りに落ちていた。
いつ眠ったのか記憶にない程、吸い込まれるように夢の中へと導かれていったのだった。