余命2ヵ月のわたしを愛した死神
***
あの日以来、わたしは毎日雨城さんのTシャツを着て眠るようになった。
それは雨城さんに喜んで欲しいという気持ちもあるが、わたし自身が少しでも雨城さんを傍に感じたいという事でもあった。
わたしには、もう残された時間はあと僅かしかない。
少しでも多く、少しでも長く、雨城さんの存在を感じていたかった。
8月の中旬になると、わたしも次第にカレンダーで日にちを気にするようになっていた。
あと何日でその日が訪れてしまうのか、自分の中でのカウントダウンが始まってしまったのだ。
それからわたしは、自分から雨城さんに甘えに行くようにもなっていた。
今までは恥ずかしさから待ちの姿勢ばかりでいたが、初めて身体を重ねたあの日以来、そんな恥ずかしさも無くなり、甘えたい時に自分から甘えにいくようにした。
そんなわたしを雨城さんは、毎回優しく受け止めてくれる。
むしろ、受け止める以上の事もあったりした。
しかし、8月28日の一週間前にもなってくると、突然途轍も無い寂しさに襲われるようになった。
(雨城さんと離れたくない······)
その寂しさが、わたしの精神を不安定にさせていったのだ。
「雫さん。」
わたしが寂しさを感じていると、雨城さんは決まってわたしの名前を呼び、優しく包み込んでくれる。
その優しさがやけに沁みて、わたしはその度に涙するようになっていた。
そして、前日の8月27日。
わたしはいつもよりも早く朝目が覚めてしまった。
しかし、隣には既に雨城さんの姿はなく、わたしはゆっくりと身体を起こすと、まだぼんやりしてフワフワした状態のまま、ベッドを抜け出し、リビングへと向かった。
寝室のドアノブに手を掛け開けた瞬間、わたしの鼻にふんわりと珈琲の香ばしい香りが届き、雨城さんの存在を感じさせる。
ドアを開けリビングに出ると、そこにはソファーに座りながら、珈琲を嗜む雨城さんの姿があり、わたしの気配に気付いたのか、雨城さんはくるりとこちらを向いた。
「雫さん、おはようございます。」
わたしの姿を見た雨城さんは、柔らかい表情でそう言う。
わたしは雨城さんの傍まで歩み寄ると、雨城さんのすぐ横に腰を下ろし「おはようございます。」と言いながら、そっと雨城さんの腰に腕を回した。
雨城さんは珈琲カップをテーブルに置くと、甘えにいくわたしの肩を抱き、受け止めてくれる。
「今日は、早いですね。」
「何だか早くに目が覚めてしまいました。」
わたしがそう言うと、雨城さんはわたしの顔を覗き込むように顔を傾けながら「カフェラテ飲みますか?」と訊いた。
「はい。」
「じゃあ、淹れてきますね。」
雨城さんはそう言い、わたしの頭にキスを落とすと、ソファーから立ち上がり、キッチンへと向かって行った。
あの日以来、わたしは毎日雨城さんのTシャツを着て眠るようになった。
それは雨城さんに喜んで欲しいという気持ちもあるが、わたし自身が少しでも雨城さんを傍に感じたいという事でもあった。
わたしには、もう残された時間はあと僅かしかない。
少しでも多く、少しでも長く、雨城さんの存在を感じていたかった。
8月の中旬になると、わたしも次第にカレンダーで日にちを気にするようになっていた。
あと何日でその日が訪れてしまうのか、自分の中でのカウントダウンが始まってしまったのだ。
それからわたしは、自分から雨城さんに甘えに行くようにもなっていた。
今までは恥ずかしさから待ちの姿勢ばかりでいたが、初めて身体を重ねたあの日以来、そんな恥ずかしさも無くなり、甘えたい時に自分から甘えにいくようにした。
そんなわたしを雨城さんは、毎回優しく受け止めてくれる。
むしろ、受け止める以上の事もあったりした。
しかし、8月28日の一週間前にもなってくると、突然途轍も無い寂しさに襲われるようになった。
(雨城さんと離れたくない······)
その寂しさが、わたしの精神を不安定にさせていったのだ。
「雫さん。」
わたしが寂しさを感じていると、雨城さんは決まってわたしの名前を呼び、優しく包み込んでくれる。
その優しさがやけに沁みて、わたしはその度に涙するようになっていた。
そして、前日の8月27日。
わたしはいつもよりも早く朝目が覚めてしまった。
しかし、隣には既に雨城さんの姿はなく、わたしはゆっくりと身体を起こすと、まだぼんやりしてフワフワした状態のまま、ベッドを抜け出し、リビングへと向かった。
寝室のドアノブに手を掛け開けた瞬間、わたしの鼻にふんわりと珈琲の香ばしい香りが届き、雨城さんの存在を感じさせる。
ドアを開けリビングに出ると、そこにはソファーに座りながら、珈琲を嗜む雨城さんの姿があり、わたしの気配に気付いたのか、雨城さんはくるりとこちらを向いた。
「雫さん、おはようございます。」
わたしの姿を見た雨城さんは、柔らかい表情でそう言う。
わたしは雨城さんの傍まで歩み寄ると、雨城さんのすぐ横に腰を下ろし「おはようございます。」と言いながら、そっと雨城さんの腰に腕を回した。
雨城さんは珈琲カップをテーブルに置くと、甘えにいくわたしの肩を抱き、受け止めてくれる。
「今日は、早いですね。」
「何だか早くに目が覚めてしまいました。」
わたしがそう言うと、雨城さんはわたしの顔を覗き込むように顔を傾けながら「カフェラテ飲みますか?」と訊いた。
「はい。」
「じゃあ、淹れてきますね。」
雨城さんはそう言い、わたしの頭にキスを落とすと、ソファーから立ち上がり、キッチンへと向かって行った。