余命2ヵ月のわたしを愛した死神
独り残されたわたしは、賢司さんから受け取った紙を胸に抱き締めながら、今来た道をとぼとぼと歩き、独りで帰宅した。
(雨城さんが、掟を、破った······)
そして、胸騒ぎがする気持ちを必死に抑えながら、わたしはリビングのソファーに腰を下ろし、自分の手の中で静かに待つ"雨城さんから"の紙をゆっくりと開いた。
するとそこには、男性の字にしては綺麗な雨城さんの文字が並べられていた。
―――――――――
雫さんへ
雫さん、大変申し訳ありません。
僕は、はじめて掟を破ってしまいました。
本来であれば、遂行しなくてはいけない任務を
僕は放棄したんです。
本当は直前まで、きちんと任務を遂行させる
つもりではいました。
しかし、僕には出来ませんでした。
愛する人には、生きていて欲しいから。
僕は、自分の寿命を雫さんに全て託しました。
なので、雫さんは安心して生きてください。
それから最後に、
本当なら、雫さんに直接伝えておくべき事ですが、
雫さん、短い間でしたが、
僕を恋人に選んでくださり、ありがとうございます。
僕は 雫さんに愛する事、愛される事の
喜びと幸せを教えていただきました。
感情が無かった 仮の肉体を持つだけの
死神である僕が愛を知れた事は奇跡だと思います。
それは雫さんのお陰です。感謝しています。
僕と出会ってくださり、ありがとうございました。
愛しています。
雨城 慧仁
―――――――――
わたしは雨城さんからの最期の手紙を読み、その手紙を胸に抱きながら、声を出して泣いた。
どうして?
どうしてわたしを置いて行ってしまったの?
わたしは色んな感情の中、胸が押し潰される思いだった。
どうして何も言わず、いってしまったの?
どうして勝手に決めてしまったの?
どうして、わたしの為に···――――――
わたしは胸に抱く手紙越しに、自分の心臓の鼓動を感じた。
今、わたしがここに生きているのは、この心臓が動いているのは、雨城さんから"命"を頂いたからなんだ。
そう思うと、苦しくて堪らなくなった。
雨城さんが隣に居てくれないと、生きている意味なんてないのに···――――