溺愛されるオッドアイ

その時は誰の姿も、見てはいない。

「……うーん」
「和椛、どうしたの?」

とん、と肩を叩かれ振り向けば莉乃がいた。

「え?……あれ、集まりは?」
「すぐ終わったよ、ミーティングの時間変わるって話だけだったから。和椛が教室いなかったからここかなーって思って来てみた。あたし当たり!」
「そうだね」

今、深く悩んでも仕方ない。
考えるのはひとりのときにしよう──







「なまってるな、和椛よ」

数日間、誰がどのタイミングで、なぜオッドアイに見えたのか、帽子のせいか、角度のせいなのかと可能性を色々考えすぎて、頭をすっきりさせたいと思い、放課後に空手の道場を持つおじいちゃんと手合わせをした。

「当たり前でしょっ……何年ぶりに道着着たと思ってるの」

たった十分ほどで、運動不足である私の息は切れていた。
(ひざ)をつく私を、おじいちゃんは腰に手を当て見下ろす。
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