ベッドの隣は、昨日と違う人
みいなの目撃





平日の夜。
大地と待ち合わせて、予約していたお店に向かう途中だった。

……あ。

視界の端で、男性と腕を組んで笑う女がいた。
満面の笑み。
見覚えがある。

あの時、
「拓也の彼女です♡」って名乗った人。

胸の奥が、ほんの一瞬だけ、きゅっと縮む。

「……あ」

声が漏れて、大地もそちらを見る。

「あ、今のって……」

「うん」

わたしは一拍置いて、言った。

「行こ?大地」

「……おう」

歩き出してから、
さっきの光景が、遅れて浮かぶ。

――彼女、って。
こないだ、そう言ってたのに。

でも、不思議と心はざわつかなかった。
確かめたいとも、戻りたいとも思わなかった。

「大地、今日のごはん、楽しみだねー!」

少し弾んだ声で言うと、

「予約、やっと取れたもんな」

横で、大地が笑う。

そのまま自然に、手が触れて、
当たり前みたいにつながった。

「うん、ありがとね。大地」

そう言うと、大地は一瞬だけ照れたように視線を逸らして、

「……俺のほうこそ」

短く、そう返した。

夜の街はやさしくて、
ふたりの歩幅は、ぴたりと揃っている。

もう、振り返る理由はなかった。
今、隣にいる人の温度が、ちゃんとあるから。

ふたりはそのまま、
未来の話をしながら、店の灯りへと向かっていった。 




       ~みいなside~
          終






それぞれの独白をお読みいただき、
ありがとうございました。


本編を気持ちよく読み終えたあとに独白。
「……こわっ」と感じさせてしまっていたら、ごめんなさい。

特に、拓也の彼女・あゆみ。

この二人はきっと、この先、簡単には抜け出せない関係になっていくんだろうな、と書きながら思っていました。

だからこそ、この独白は本編が完結した“あと”に入れさせていただきました。

もしよかったら、
読んでどう感じたか、感想など聞かせてもらえると嬉しいです。



そして、今度こそ最後の締めの物語。
温泉旅行のあとのふたりのアフターストーリーをお届けいたします。

みいな、大地、美咲。
完結後のストーリーをお楽しみください。





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