君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 新しいラウンジのグランドオープンを祝うレセプション会場は、しっかり冷房が効かせてあるはずなのに、どこか熱気に包まれていた。東雲色の絨毯を、天井から下がるシャンデリアの煌めく光が彩っている。
 晴菜はバックヤードでベストの襟元を整え、小さく息を吐いた。松本がこの日のために新しく用意した黒を基調にしたシャツとグレーのベストは、ギャレットのカウンターに立つ時とはまた違う緊張感を連れてくる。

「衣笠、入り口。そろそろ始まんぞ。氷、もう一段細かく割っとけ」
「はい」

 慣れた手つきで炭酸水のボトルを揃えていく松本が、低く鋭い声で言葉を紡ぐ。トレードマークともいえる無精ひげは綺麗に剃られており、松本も気合いを入れてきたのだと察して改めて気が引き締まる。
 衝立の向こう側では受付が始まり、ドレスアップした招待客たちが次々と姿を現し始めていた。それを見遣った松本とともに、晴菜は設置された特設のバーカウンター内に立つ。
 落ち着いた色味のドレスや上質なスーツを着こなす人々の姿を見るにつけ、晴菜は無意識に自分の立ち位置を測ってしまう。

 ――もし……このまま、奏汰と一緒にいるなら……
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