君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 真夏の早朝特有の、白く濁った光がカーテンの隙間から差し込んでいた。カーテン越しの光が、リビングの床に曖昧な輪郭を落とす。
 晴菜はリビングで膝を抱え、背中を丸めたまま動けずにいた。
 昨夜のレセプションは数年に一度の大仕事だったため、松本の配慮で今日は休みになっている。特別な場で働いて身体は疲弊しているはずなのに、結局一睡もできずに灰色の朝を迎えてしまった。眠ろうと必死に目を閉じても、浮かんでくるのは冷たい麗奈の言葉と凛とした穂乃果の横顔だけ。

 ――私には、無理だ。

 昨晩相対した穂乃果は、背筋が伸びていた。母に反対され、家に縛られ、それでも「自分の人生を選ぶ」と言い切る強さがあった。
 それに比べて、自分はどうだ。奏汰の隣に立つ未来を想像するたび、「ふさわしくない」という言葉が先に立つだけ。

 ――これで……よかったの。きっと。

 昨夜、震える指先で送信した別れのメッセージ。それに対する返信はなかった。着信もない。スマホはもう、何時間も沈黙したままだ。
 これでよかったと自分に言い聞かせるたび、胸の奥が焼きごてを当てられたように熱く痛む。
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