君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 晴菜の喉が、ひくりと鳴った。否定し続けてきた自分自身を真正面から肯定され、心臓を鷲掴みにされたような錯覚を覚えてしまう。
 晴菜は喘ぐように息を吐き出しながら、彼の胸を押した。力はほとんど入らず、ひどく弱々しい。

「……守られてるだけなのが、怖いの」
「分かってる」

 悲鳴に近い晴菜の言葉を、彼は手荒な口づけで塞いだ。必死に抗おうとしていた晴菜の指先から、次第に力が抜けていく。

「俺の隣に立つのは、あんたしかいない。あんた以外、考えられない」

 唇を合わせたまま囁かれた声は低く、けれど確かな熱を孕んでいた。目尻から滑り落ちていった涙が、奏汰のワイシャツを濡らした。

「あんたが自分を『器じゃない』って言うなら、その器、俺が一生かけて作り替えてやる」

 奏汰の熱を持った指先が、はらはらと涙を零す晴菜の頬を慈しむように拭っていく。

「晴菜。俺を捨てるな。俺の人生から、勝手に降りようとするな。……あんたの人生、全部俺に預けろ」
「……ぁ……」

 晴菜の喉から、声にならない息が漏れた。
 それは、あまりにも重い言葉だった。愛の告白にはほど遠い。けれどその言葉はどんなプロポーズよりも熱く、晴菜の翳った思考に光を運んでくる。
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