君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 奏汰は晴菜のおとがいを取り、無理やり視線を合わせさせた。その指先から伝わる体温は、昨夜のスマホの冷たさとは対照的に、焼けるように熱かった。
 眼前の奏汰の瞳は見たこともないほどの激情に濡れていた。それでも、その目元には隠しようのない疲労が滲んでいた。必死の思いでここまで駆けつけてきたことが伝わってくる。

「あいつが強いのは、あいつの勝手だ。俺はな、晴菜。あんたがこうやって不安になるのも、揺れるのも、全部含めてあんたを選んだつもりだ」
「でも……っ、穂乃果さんは、あんなに強くて……」
「穂乃果が強いなら、勝手に戦わせておけばいい。あいつにはあいつの形があるように、俺には俺の、あんたにはあんたの形がある。俺が欲しいのは時東の力でも、戦える女でもねぇ。……あんただけだ、晴菜」

 切れ長の瞳は、まっすぐに、力強く晴菜を捉えていた。

「強がりなくせに弱いのを隠さねぇ。折れそうになりながら、それでも自分以外の誰かを一番に考えて大事にするあんたが、俺は欲しい」

 晴菜の胸の奥で、冷たく固まっていた何かが、彼の熱によって一気に溶け出していく。麗奈から浴びせられた言葉も、穂乃果の眩しさも。今は遠い世界の出来事のように思えた。

「比べる必要もねぇ。穂乃果みたいに矢面に立つ覚悟なんてなくていい」
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