【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「空気を和ませただけだ」
「必要ねぇ。そもそも、兄貴がこんな形で晴菜を巻き込んだこと、忘れたわけじゃねぇだろうな」
奏汰はまっすぐに隆之を見つめる。晴菜は思わず奏汰を見遣った。その横顔は、感情を抑えているものの明確な苛立ちを孕んでいた。
隆之は一拍置いて、小さく息を吐いた。
「……分かった。悪かった」
鹿威しの音が、再び静かな座敷に響いた。と同時に、襖の向こうから、ためらいのない足取りが近づいてくる。
仲居の「失礼します」という言葉とともに襖が開かれ、灰桜色の訪問着に身を包んだ麗奈が姿を現した。派手さはないのに、場の視線を一気に引き寄せる佇まいをしている。表情は穏やかだが、その目は一切笑っていない。
その半歩後ろに、清楚な水色のワンピースを着た穂乃果が続く。そして最後に、スーツ姿の稔が無言で一礼した。先週会った時よりも、少し日焼けしているように感じられた。
「久しぶりやねぇ、隆之。剛士さんがいらっしゃるかと思っていたんですけど」
最初に口を開いたのは麗奈だった。その視線は隆之から奏汰へと流れ、最後に晴菜に一瞬だけ留まった。その一瞬に、値踏みと警戒が同時に含まれていた。
「必要ねぇ。そもそも、兄貴がこんな形で晴菜を巻き込んだこと、忘れたわけじゃねぇだろうな」
奏汰はまっすぐに隆之を見つめる。晴菜は思わず奏汰を見遣った。その横顔は、感情を抑えているものの明確な苛立ちを孕んでいた。
隆之は一拍置いて、小さく息を吐いた。
「……分かった。悪かった」
鹿威しの音が、再び静かな座敷に響いた。と同時に、襖の向こうから、ためらいのない足取りが近づいてくる。
仲居の「失礼します」という言葉とともに襖が開かれ、灰桜色の訪問着に身を包んだ麗奈が姿を現した。派手さはないのに、場の視線を一気に引き寄せる佇まいをしている。表情は穏やかだが、その目は一切笑っていない。
その半歩後ろに、清楚な水色のワンピースを着た穂乃果が続く。そして最後に、スーツ姿の稔が無言で一礼した。先週会った時よりも、少し日焼けしているように感じられた。
「久しぶりやねぇ、隆之。剛士さんがいらっしゃるかと思っていたんですけど」
最初に口を開いたのは麗奈だった。その視線は隆之から奏汰へと流れ、最後に晴菜に一瞬だけ留まった。その一瞬に、値踏みと警戒が同時に含まれていた。