【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 恐怖が消えたわけではない。けれど、ここまで尽力してくれた奏汰の覚悟に自分も応えたい。

 ――奏汰に、守られるだけでは終われない。守られるだけの部外者には、なりたくない。

 奏汰の隣で、この熱も重みも共に背負う。それが自分で選ぶ『未来』だ。

「私は……名家の生まれでもなければ、強いコネも持っていません。バーテンダーという仕事柄、お酒には詳しい自負はありますが、造り方は齧った程度しか持ち合わせていません。でも、……でも、お酒を愛している人の隣に立つ覚悟ならあります。奏汰さんが造るお酒が誇れるものである限り、私は決して逃げません」

 自分でも驚くほど、落ち着いた声がこぼれた。晴菜は麗奈をまっすぐに見つめる。

「彼を支えるためなら何だって学びます。マーケティングも、海外市場の動向も、私にできることはすべて泥臭くやり遂げます」

 繋いだ手に力を込めると、奏汰も緩やかに握り返してくる。晴菜はゆっくりと奏汰を見つめた。
 切れ長の瞳は冷静さを湛えながらも、今はわずかに揺れていた。

「私も、……奏汰さんと共に、未来を背負います」

 静まり返った座敷に、その言葉が凛とした余韻を残していく。
 僅かな沈黙ののちに、隆之は満足そうにゆっくりと頷いた。

「十分だ。家柄や肩書きよりも、どれだけ腹が据わっているかの方が、よほど信頼に値する」
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