【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 奏汰のマンションは、驚くほど整っていた。無機質なグレーのキッチンに、計算された柔らかな間接照明が落ち、影を長く伸ばしている。

「座ってろ。今日は疲れただろ」

 リビングに通されるなり、有無を言わせぬ口調でそう告げられた。晴菜は促されるまま、上質な革張りのソファに深く腰を下ろした。どっと押し寄せてきた安堵感で、指先がわずかに震える。
 奏汰は手慣れた動作でネクタイを緩め大きく息をついた。冷蔵庫から取り出した冷えたミネラルウォーターのボトルをこちらに向けてきたので、そっと手を伸ばす。

「……ありがとう。あそこまで準備してたなんて」
「あんたも、家も。全部守るって決めたからな」

 淡々とした声なのに、どこか熱がある。副社長としての仕事をこなしながら時東グループのことを詳細に調べ上げ、あの場での立ち回り方も入念に組み立てていたのだろうと思うと、胸の奥がじんと痺れるような錯覚を覚えてしまう。晴菜はボトルの冷たさを手に感じながら、ゆっくりと息を吐いた。
 奏汰が隣に腰を下ろした。ふわりと爽やかな香りが鼻腔をくすぐっていく。
 距離が、近い。ふと、切れ長の瞳と視線が絡み、どちらともなく小さく笑った。

「怖くなかったか」
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