【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 その声音には、どこか自分を責めるような響きが宿っていた。奏汰の問いに、晴菜は首を振った。

「……少し。でも、あなたがいたから立っていられました」

 その瞬間、奏汰の表情が柔らかく崩れる。大きな手が晴菜の頬に触れ、熱を持った親指の腹が柔らかな肌をそっとなぞる。慈しむような、けれど逃がさないと告げているような、強い指先。

「無理……させた」
「……ううん。私こそ、足を引っ張っていませんでしたか」

 思わずこぼれた本音に、奏汰は目を瞠った。そして次の瞬間、ふっと口元の端をつり上げる。

「んなわけあるか。晴菜の言葉があったからこそ、兄貴を本心から翻意させられた。俺はそう思ってる」

 静かな部屋に、互いを求める熱だけが満ちていく。
 晴菜がそっと指先を彼の手の甲に重ねて絡めると、奏汰は深く、溜め込んでいた毒を吐き出すかのように息を吐いた。張り詰めていた緊張が完全に解けたのか、彼は自重を預けるように額を重ねてくる。

「……晴菜」

 名前を呼ぶ声が、ひどく切なく響いた。
 鼓膜を震わせる低い囁きに、晴菜の心臓が跳ねた。重なる額から伝わる体温が、自分と同じように熱を帯びているのがわかる。
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