君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 奏汰はわざとらしくため息をひとつ吐き出し、ハンドルを指で弾くように叩いた。

「他の女がいくらでも? 笑わせんなよ。いい女の基準なんて俺が決める」

 静かに、けれど有無を言わせぬ響きを持ったその声色に、晴菜は息を呑んだ。その力強い言葉が、晴菜の心に渦巻いていた戸惑いを一瞬で吹き飛ばしていく。

「他の女はみんな、俺の金かステータスが欲しかった。だから俺だって、これまでそれを利用させてもらってたさ。そこは嘘つかねえ」
「……」
「だからこそ、その睨み返してくる目が俺を本気にさせる。ここを、初めて掴まれた」

 鋭い言葉とともに、奏汰は左手の親指で自らの胸元をトントンと叩いた。

「あんたは『俺』を知ってなお、その目だ。そっちの方がよっぽど面白いだろ。俺の金や肩書きに靡かない女を『俺』の力だけで落とす方が、ずっと燃える」

 その言葉は、冗談めかした口調とは裏腹に、あまりにも剥き出しで真っ直ぐだった。

「勘違いするな。あんな壊れた顔をしたあんたが可哀想だから拾ったとか、そういうもんじゃない。俺はあんたが欲しいと思った、ただそれだけだ」

 車内に落ちた沈黙が、やけに重たい。
 強気で傲慢で、どこまでも自分本位な言い分なのに、なぜか胸の奥がじわりと熱を持つ。

 ――欲しい、なんて。

 そんな言葉を、真顔で、真正面から向けられたのは初めてだった。

「俺はもう、晴菜以外で心臓が鳴る気がしない」
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