君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
第三章 揺れる心が選ぶもの
日が沈む直前に晴菜がマンションを出た時、奏汰はすでにそこにいた。前回と同じ黒の高級セダンが、マンションの前に静かに横付けされている。
黒のスーツで助手席のドアにもたれかかっているその姿は、まるで映画のワンシーンのようだった。
「遅かったな」
「……時間ぴったりですけど」
晴菜は思わず口を尖らせた。約束の時間ぴったりに出てきたのに、その言い草はないだろう。
「俺の感覚では十分遅い。一秒でも早く会いたかった。何のために今日の商談全部巻いてきたと思ってる?」
「!」
彼は悪びれる様子もなくそう言い放つ。晴菜が言葉を失うのを予想していたのか、奏汰は次の瞬間には切れ長の瞳を細め、くっと喉の奥を鳴らした。
「ほんと分かりやすいな。顔赤いぞ」
「っ、あなた、性格悪い」
「晴菜限定でな」
奏汰は満足げに笑いながら、助手席側のドアを軽やかに開けてみせる。その動作一つにも、スマートさと有無を言わせぬ空気があった。
晴菜は一瞬だけ逡巡したものの、そのまま助手席へ乗り込んだ。奏汰は満足そうに目を細め、車を出していく。
シートに身体を預けた途端、ふわりと革と香水の混じった匂いが鼻をくすぐった。
「シート倒して寝ててもいいぞ。一時間はかかる」
「……昼間しっかり寝ましたから。お気遣いなく」
「そうか」
奏汰は短く答え、それ以上は何も言わなかった。急にデートに誘いだしてきたくせに、昼夜逆転生活の晴菜を気遣っているのだろう。傍若無人な振る舞いの中に垣間見える心配りが、ひどく矛盾しているように思えて、なんとも厄介だった。優しさを向けられるほど、彼を拒む理由が曖昧になっていく。
黒のスーツで助手席のドアにもたれかかっているその姿は、まるで映画のワンシーンのようだった。
「遅かったな」
「……時間ぴったりですけど」
晴菜は思わず口を尖らせた。約束の時間ぴったりに出てきたのに、その言い草はないだろう。
「俺の感覚では十分遅い。一秒でも早く会いたかった。何のために今日の商談全部巻いてきたと思ってる?」
「!」
彼は悪びれる様子もなくそう言い放つ。晴菜が言葉を失うのを予想していたのか、奏汰は次の瞬間には切れ長の瞳を細め、くっと喉の奥を鳴らした。
「ほんと分かりやすいな。顔赤いぞ」
「っ、あなた、性格悪い」
「晴菜限定でな」
奏汰は満足げに笑いながら、助手席側のドアを軽やかに開けてみせる。その動作一つにも、スマートさと有無を言わせぬ空気があった。
晴菜は一瞬だけ逡巡したものの、そのまま助手席へ乗り込んだ。奏汰は満足そうに目を細め、車を出していく。
シートに身体を預けた途端、ふわりと革と香水の混じった匂いが鼻をくすぐった。
「シート倒して寝ててもいいぞ。一時間はかかる」
「……昼間しっかり寝ましたから。お気遣いなく」
「そうか」
奏汰は短く答え、それ以上は何も言わなかった。急にデートに誘いだしてきたくせに、昼夜逆転生活の晴菜を気遣っているのだろう。傍若無人な振る舞いの中に垣間見える心配りが、ひどく矛盾しているように思えて、なんとも厄介だった。優しさを向けられるほど、彼を拒む理由が曖昧になっていく。