【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
次々と料理が運ばれてくる。

「今回はこちらの不手際により、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」

先方の社長が頭を下げた。

「いえ、こういうことはよく起こりますから」

当たり障りのない会話が続く。

お酒が運ばれてくる。

「あなたは確か林さんでしたよね……?副社長と同じ姓というのは、なにか繋がりがあるのでしょうか?」

先方に聞かれて、答えに詰まった。

「……こちらの血縁の配偶者です」

え?

その返事が意外で驚いた。

偶然とか言うと思っていたからだ。

「そうなんですね。お二人とも林さんなので、下の名前もお伺いしていいですか?」

「七海と申します」

なぜか私に注目が集まって食欲が減退していく。

「林副社長の秘書さんは優秀な方々ばかりですね。今回も七海さんがいらっしゃってよかった。今後ともよろしくお願いします」

「……恐れ入ります」

お試し秘書みたいなものなのに……。

お酒がだんだんと進み、会話が弾み、距離感が近くなっていく。

「七海さんもお酒どうですか?」

確かこの方は営業部長だった……はず。

「お酒が合わない体質でして。申し訳ありません」

目が座っている彼がやや身を乗り出してきた。

「七海さん、連絡先教えてもらえますか?色々お話ししたい」

え……。

その方の指には結婚指輪がしっかりはめられている。

私の指にも。

なんのための指輪なのか。

なんて返せばいいの……?

角が立たない言い方が思いつかない。

「申し訳ありません。林は秘書に就いたばかりでこのような会に不慣れなので、また次の機会にさせて頂いてよろしいでしょうか」

勇輝さんが私たちの会話に割ってはいった。

やや相手の社員がたじろいでいる。

「失礼しました」

勇輝さんはまた先方の重役と話している。

これは守られたのか?

真意がわからないまま会食は終わりを迎えた。
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