【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
複雑な気持ちを抱きつつ、私は遠くで自分を心配している勇凛くんを思い浮かべた。

スマホを見ると、勇凛くんからのメッセージが。

『出張どうですか?』

胸が温かくなる。

『無事に終わったよ。早く帰って勇凛くんに会いたい』

しばらくすると、返信がきた。

『俺も早く七海さんに会いたいです。いっぱい抱きしめたいです』

む、胸が苦しい……!

遠くにいる夫へ思いを馳せながら、出前でとった昼食を食べていた。

***

──午後5時30分

勇輝さんの宿泊先のホテルのロビー。

待っていると客室用のエレベーターから勇輝さんが出てきて私と目が合った。

こっちにゆっくり歩いてくる。

「タクシーで会食の店まで向かう」

あれ?

「あの男性社員の方々はどちらに?」

「帰らせた。会食に同席する必要はない」

私もいる必要がないような。

勇輝さんはタクシー乗り場に歩いて行った。

私もあとを追う。

そしてタクシーに二人で乗り込んだ。

繁華街を通り抜け、向かった先にあったのは、風情がある日本風の建物の料亭だった。

勇輝さんと店の中に入ると、女将さんがにこやかに出迎えてくれた。

「お部屋にご案内します」

案内された部屋は、広々とした立派な和風の個室だった。

テレビでこんな店を何回か見たことがあるが、自分が入るのは初めてだった。

すでに先方の社員が数名座っている。

「本日は遠路お越しいただき、ありがとうございました」

先方の社長が挨拶をした。

「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます」

勇輝さんは見たこともないような柔らかい笑顔を向ける。

これが営業スマイルというやつなのか。

先方社長の挨拶で、会食が始まった。
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