【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
仕事が終わってスマホを見ると、勇凛くんからメッセージがきていた。

『今日、話したいことがあります』


──え?

何?

話したいこと……?

そんな改まって言われると怖い。


『うん。わかった』

そう送ると電話がかかってきた。

『七海さん仕事終わりましたか?』

「うん。勇凛くん今どこ?」

『駅前にいます。今日家に来てもらうことできますか……?』

「うん。大丈夫だよ」

『じゃあ待ってます』

通話を終え、私は勇凛くんの元へ向かった。

***

駅に着くと改札前に勇凛くんがいた。

「七海さん、お疲れ様です」

「勇凛くんもお疲れ様」

私たちは改札を抜けて、勇凛くんの家へと向かう。

話したいことってなんだろう。

勇凛くんの顔を見ると、いつもとそこまで変わらない。

謎だ。

「七海さん今日会社で俺を見に来てたんですか?」

「え」

「森川さんに聞きました」

なんで言うんだよ……。

「ごめん。どうしても見たくて」

「嬉しいです。七海さんがこれからも、仕事もそうじゃない時もそばにいてくれることが」

優しく微笑む勇凛くんの顔を見て、不安は安心に変わった。

勇凛くんの家に着いて上がると、勇凛くんに抱きしめられた。

「七海。好き」

勇凛くんの温もりが私の疲れた心を癒す。

「私も好きだよ。勇凛」

優しくキスをする。

そして二人でソファに座った。

「話したいことって何かな?」

勇凛くんは真剣な顔をしていた。

「実は兄と話しました」

兄……とは。

「勇輝さん?」

「はい」

「どんなこと……?」

「俺は、無理やりあの会社に入社させられましたが……父の話を聞いて、あの会社と兄のことをもっと知りたいと思ったんです」

「うん」

「それを兄に伝えました」

「なんて言われた……?」

「『そうか』って」

絶対そう言うと思った。

「あの人の本心、わからないよね……」

「いつかわかる日がくればいいなと、思ってます」

あんなに酷い仕打ちを受けた私たち。

でも、今は知ろうとしている。

不思議だ。

「私たち、成長したのかな」

「七海さんはすごいですよ!兄がこのまま七海さんを秘書にするなら認められてますよ!」

それはなんともいえない。

「あ、あと、このマンションは解約してもいいと言われました」

「え?」

それってつまり──

「二人で暮らせる……」

「はい。俺が迷ってしまってすみませんでした。でも、もう心は決まったので大丈夫です。七海さんと暮らしたいです。今すぐにでも」

その言葉を聞いたら、安心して涙が出てきた。

「よかった……」

やっと、やっと二人で暮らせる。

夫婦だったら当たり前なことがずっとできなかった。

でも、諦めなかった。

そんな自分を、私たちを今心から誇れる。

「七海さん、これからもずっと一緒です」

勇凛くんが抱きしめてくれた。

出会っていきなり入籍した私たちが、やっと心置きなく一緒に居られる喜びと安心に包まれ、幸せな余韻に浸りながら今日を終えた。
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