【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
──シャンパンタワーを初めて見た。

目の前で。

川崎さんの二番目の義兄こと、林勇哉さん。

きっとパリピっていうのはこの人のためにあるような言葉だ。

沢山の嬢に囲まれて、はしゃいで、このテンションに付き合うのは一苦労だ。

「森川君飲んでる~?楽しんでる~?」

全く楽しくない。

全く酔えない。

突然また肩を組まれる。

「俺、友達とかいないし、こうやって遊べる人ができて本当に嬉しいわ」

遊べる人……。

俺は、遊び要因になってしまった。

その時スマホに通知が来た。

──川崎さんからだ。

俺の番号、ちゃんと登録してくれていたのか。

『川崎です。生きてますか?』

そのメッセージを見て安心した。

『大丈夫』

俺はトイレに行くという名目で外に出た。

そして彼女に電話をかけた。

『はい!』

「心配かけてごめん」

『いえ、こちらこそご迷惑おかけして申し訳ありません……』

「実はさ。元から辞める気ではいたんだ」

『え、そうだったんですか……?』

「川崎さんがいたから続けてたけど、辞めるならいる意味ないし」

『あ……あの、心臓に悪いんで、そういうこと言うのやめてください!人妻なんで!』

「ごめん。まあそれは置いておいて、俺はもう引き返せない状態になったから、あの会社の社員になるよ」

そう言って電話を切った。

半分嘘で、半分本当。

辞めるつもりはなかった。

ただ、彼女がいないあの会社にいる意味を見出せなくなってしまった。

もう手が届かない状況なのに、それでもそばにいたいと、勝手に体が動いてしまう。

非常に厄介だ。

「森川君、勝手に店出るとかさ……それ酷くない?」

背後から聞こえる、俺の今後を左右する人間。

いや、自分でこの道を選んだ。

「すみません、彼女から電話があって……」

と、架空の彼女を作る。

「え、七海ちゃん??」

なぜバレる。

「違いますよ、川崎さんは勇凛さんの奥さんじゃないですか」

自分で言ってまたダメージをくらう。

「え、そんなの関係なくない?」

──は?

「俺、全然気にしないし、これからも七海ちゃんに会いに行くし」

まてまてまてまて

「あなたは気にしなくても、彼女は気にしますから」

「え?そうなの?じゃあ七海ちゃんが振り向いてくれるように、頑張らないと、俺たち」

「……」

俺の気持ちは見透かされているんだろうか。


つづく
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