【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
私の家までの道中、勇凛くんはずっと無言だった。

いったいどうしたの?

いつもの雰囲気と違いすぎて声をかけにくかった。

最寄駅に着いたあと、自宅までの道のりは静かな住宅街で、それが気まずさに拍車をかけた。

何も話さないまま自宅マンションに着いてしまった。

「勇凛くん、迎えに来てくれてありがとう」

「いえ、当然のことをしただけです」

勇凛くんがやや不機嫌なのが気になって、なかなか動けずにいた。

「私何か怒らせちゃったかな……」

「……七海さんは何悪くないです」

「でも──」

「俺は七海さんが困ったことがあっても、仕事では何も助けることができません」

勇凛くんは俯いた。

勇凛くんは──

自分が年下で、まだ学生だってことに劣等感を持っているんだ……。

私も年下扱いしてしまっていた。

勇凛くんは私と肩を並べようとしているのに。

「勇凛くんごめんね。勇凛くんの気持ち、ちゃんとわかってなかった」

私は勇凛くんの手に触れた。

「勇凛くんは、そのままでいい。私がちゃんと、私たちが夫婦だって胸を張って言わなきゃいけなかった」

「いえ。まだ俺は学生なんで、七海さんが言いにくいのはわかります」

勇凛くんは手を握り返してくれた。

「四月から俺も社会人なんで、もっと頼り甲斐がある男になれるように頑張ります」

勇凛くんの真っ直ぐな瞳が眩しかった。

「……あの、一つお願いしてもいいですか?」

お願い?

「うん。なに?」

勇凛くんは少し時間を置いた後呟いた。

「キスしてもいいですか……?」

私は言葉を失った。
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