【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

近づく距離

「え、今……?」

勇凛くんは頷いた。

「でも、七海さんが嫌なら、いいです」

勇凛くんは私の気持ちを第一に考えてくれる。

なぜこのタイミングかはわからない。

それで勇凛くんの心が満たされるなら──

「……いいよ」

勇凛くんは顔を上げた。

「本当ですか?」
「うん。だって私たち一応夫婦だし……」

夫婦なのにキスすらしたことがない。

「ありがとうございます。嬉しいです」

キスなんて初めてじゃない。

なのに、ものすごい緊張している。

「あの……ここだと近所の人に見られちゃうから、家の中にしようか」
「はい」

私は勇凛くんを連れて、また部屋に帰ってきた。

私は勇気を出した。

「勇凛くん!いいよ!」

私は目を閉じた。

「じゃあ、いきます」

不思議なやりとりだ。

緊張して心臓が破裂しそうだった。

その時、柔らかい感触が──

目を開けると、恥ずかしそうにしている勇凛くんの顔が目の前に。

こんな至近距離で見たのは初めてだった。

甘酸っぱい気持ちになった。

まるで初恋の相手と初めてのキスをしたような──

「ありがとうございます」

勇凛くんは離れた。

「七海さんにまた近づけてよかったです。じゃあ、俺帰ります」

勇凛くんは玄関から出ようとした、その時。

私は勇凛くんの腕を掴んでいた。

無意識だった。

「どうしましたか?」

勇凛くんは驚いてる。

なんで私はこんなことを?

でもわかった。

私はまだ勇凛くんと一緒にいたいんだ。

「勇凛くん、まだ時間ある?」
「はい」
「じゃあ、もう少しゆっくりしていってくれると嬉しいな……」

勇凛くんの瞳が輝いている。

「はい!」

私たちの心の距離がまた少し近づいた気がした。
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