【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
キッチンに立つ勇凛くん。

「エプロンありますか?」

「え、エプロン使うの?」

「油飛ぶのであると助かります」

私の持ってるエプロン、ピンクの花柄なんだけど。

「こんなのしかないんだけど……」

勇凛くんに差し出すと、特に顔色も変えず「ありがとうございます」と言って、エプロンをつけて玉ねぎを刻み始めた。

背の高い若い美形男子が、ピンクの花柄エプロンをつけてキッチンでハンバーグを作ろうとしている。

はたから見ると不思議な光景だ。

今でも夢なんじゃないかと思っている。

私は勇凛くんの近くに行った。

「どうしましたか?」

「一緒に作ろうと思って」

「じゃあ、混ぜたの形作ってください。俺焼きます」

ハンバーグも作れる勇凛くん。

なんて有能なんだ!!

勇凛くんと並んでハンバーグを作る。

それがなんだか幸せだった。

◇ ◇ ◇

二人で出来上がったハンバーグをテーブルに並べた。

「美味しそう!いや、絶対美味しい!」

「七海さんも一緒に作ってくれたんで、美味しいですよきっと」

私はただ形を作ってただけ……。

二人で一口目を食べた。

「美味しい!勇凛くん天才!」

「いや、このくらい普通ですよ」

「そんなことないよ!私まともに作れないし」

「これからは俺が作るから大丈夫ですよ。心配しなくても」

ハンバーグが喉に詰まりそうになった。

まだ付き合いたてみたいな気持ちなのに、夫婦だという現実が、感情の処理を難しくする。

二人でハンバーグを食べて、ご馳走様をしたあと、勇凛くんは帰ろうとした。

「明日は大学とバイトなので迎えに行けないんですが、何かあったら行ってください」

「うん、ありがとう。気をつけてね」

そう言った瞬間、目の前の景色が歪んで視界が狭くなった。

「七海さん!」

倒れそうになった時、勇凛くんに腕を掴まれて、そのまま二人で倒れ込んでしまった。
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