三十路の社畜OLは出会った翌日に八才年下男子と結婚しました
恋──

そんな感情、どこかへ置いてきた。

「私三十路なの。君みたいな若い男の子と遊んでる余裕ないんだ。仕事も忙しいし」

こんなビジュアル最高な子と恋愛してみたかった。

もっと若ければ。

時間が経過すれば、私は老けて、この子は年相応の子と恋愛をしたくなるだろう。

そんなの惨めだし、時間の無駄だ。

「じゃあ、さようなら」

私はその場を足早に去った。

その時腕を掴まれた。

「待ってください、俺は本気です」

振り返って見た彼の目は真剣だった。

「なんで私なの?さっき初めて会ったばかりじゃん」

「ビビッときたんです。この人だって」

ビビッと……?

たしか姉ちゃんも旦那さんと結婚する前にそんなこと言ってたな。

なんだ、ビビッとって。

「君来年から社会人ってことは、二十二歳くらいでしょ?年の差八歳。現実的に見て、無理があるよ」

「年齢とか関係ないですよ」

彼が掴んだ私の腕に力が入る。

「関係あるよ。君は今しか見えてない」

バイト君は俯いている。

早く手を離してくれ。

「どうすれば俺を受け入れてくれますか……」

まだ粘る。

「君が私と結婚することを前提になら考えてあげるよ」

バイト君は私を見据えた。

「わかりました」

考え直させようとしたのに引かない。

「俺の本気、証明します」

「え?」
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