社畜女の愛され白書〜三十路の社畜OLは出会った翌日に八才年下男子と結婚しました〜
朝起きて、昨日のことが夢なんじゃないかと思った。

でも、スマホを見たら、しっかり名前とトークがある。

現実だった。

どうしよう……

私は急いで着替えた。

もしかしたら彼の気持ちが変わってるかもしれない。

そんな望みをかけて家を出た。

───

職場に着くと、重くのしかかる現実。

育休中の先輩に続き、産休に入った後輩、穴埋めに入った派遣社員は仕事が遅い。

「矢野さん、さっき渡した資料、入力終わった?」

派遣社員の若い女の子は、のんびりとキーボードを打っている、

「あ、まだです。もう直ぐ終わります」

私がやれば十分で終わる。

でもそこまで手が回らない。

気分を切り替えるために、自販機でエナドリを買って一気飲みした。

「うわ、それやめた方がいいよ」

振り返ると、同じ部署の森川さんだった。

私の二個上の先輩で、仕事ができて、会社の評価もよくて、割とイケメンである。

「お疲れ様です」

私が呟くと、森川さんは缶コーヒーを買って私の隣に立った。

「カフェイン中毒になるよ」

「……でも飲まないと頭冴えないんですよ」

「川崎さん毎日遅くまで残ってるもんね」

森川さんはコーヒーを飲み干すと、「無理しないでね」と言って去っていった。

無理しないと終わらないんだよ……。

心の中で呟いた。
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