【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
仕事が終わってフラフラとビルから出ようとすると、スマホに着信があった。

勇凛くんからだった。

『何時に仕事終わりますか?』

勇凛くん……。

『今終わったよ』

既読。

『今からそっちに行ってもいいですか?』

──会いたい

『うん、待ってる』

それから勇凛くんをしばらく待っていた。

ぼーっと景色を眺めていると、だんだんと音楽のような音が聞こえてくる。

煩い。

目の前に高級車が停まっている。

あれ……あの車って。

嫌な予感がする。

車の窓が開いた。

「あー!七海ちゃんだ!何してるの?」

──なんでまたこいつ……この人と会うんだこのタイミングで。

こんな偶然が何度も起きるなんて、私は神に見放されたのか?

勇哉さんは車を路駐してこちらに来た。

「明日うちの会社来るんだよね?楽しみ〜」

ニコニコしている。
悪魔みたいだ。

「何してるの?」

「……勇凛くんを待っているんです」

「え?あいつこれからここに来るんだ。俺も一緒に待つわ」

──え、なぜ?

よくわからないまま、タバコを吸い出したこの人から目を逸らして勇凛くんを待った。


すると、遠くから勇凛くんが見えた。

私と目が合って笑顔になったかと思いきや、隣の人のことを見て青ざめている。

やっぱり苦手なんだ。
勇凛くんも。

勇凛くんは慎重にこちらに来た。

「あ、勇凛久しぶり〜」

「……なんで兄さんがここにいるんですか?」

勇凛くんの険しい顔。

「ここ車で通ったら偶然七海ちゃん見かけた」

「七海ちゃん……?」

勇凛くんの声が低くなった。

「七海さんのこと、そんな呼び方しないでください」

ほぼ同じ顔の二人が睨み合っている。

でも勇哉さんは特に何も変わらず。

「勇凛本気なんだね。安心した〜」

「何がですか?」

「別に。じゃあ明日本社で待ってるから、気を引き締めておいで」

ただでさえ不安なのに余計に煽ってくる。

勇哉さんはヘラヘラしている。

「俺これから同伴だからさー。ばいば〜い」

そのまま車に乗って行ってしまった。

私と勇凛くんはしばらくそこに立ち尽くしていた。
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