【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
「……はい。正直かなりしんどかったです。後任の人はちゃんと配慮してあげてください」

新卒で入社してからここにずっと勤めてきた。
いい思い出はあまりない。
むしろキツかった。

ただ、なんとかそれでも持ち堪えていた自分を褒めたい。

上司との面談が終わって、廊下を歩いていると──

森川さんが待ち伏せていたかのように立っていた。

「辞めるんだ」

「はい。色々あって」

「もしかして……“ 勇凛くん”関係?」

鋭いなこの人は。

「……あの会社に入らないといけなくなったんです」

「は……?あの会社って林ホールディングス……?」

「はい」

「何があったんだよ」

森川さんは珍しく動揺している。

「私は人質みたいなもんですよ」

勇凛くんをあの会社に縛るための。

「意味がわからない」

私だってこんなことになるなんて、微塵も思っていなかった。

「森川さん、色々ありがとうございました」

森川さんに頭を下げた。

「……結婚の次は退職か」

森川さんは私の横を通り過ぎた。

……と思ったら振り返った。

「連絡先聞くのはアリ?」

連絡先……。辞めるのに?

もう話すことなんてない。

私が答えられずにいると、森川さんはボールペンをだして、私の手をとった。

そして手の甲に番号を書いた。

「え!?」

「なんかあったらいつでも連絡して」

そう言ってオフィスに戻った。


なんて強引なんだ!
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