前世王子アイドルグループ~僕たちは君の一番星になりたい☆。.:*・゜

*ライバル

 予定のシーンに加え、準備中や撮影終了後に撮った場面でも好きなシーンがありすぎて……結局使ったシーンが予定よりも増えたけれど、なんとか完成した。

 さっき学園の動画配信サイトにアップした。アップしたのと同時にアクセス数やコメント数が一気に増えていく。

今、再生回数をさらに増やすため、編集部屋のパソコンを使い何度も再生ボタンを押している。

「もう一回再生ぽちっ!!」

~♪

誰かに見つけてもらうのではなくて
自分で見つけたい

ここで過ごす時間は
たった一度だけの物語さ~

……

スマホの録画ボタンを笑顔で押す僕の演技。同時に曲も流れてくる。

学園の玄関前でプリレボのメンバーが円になった。ステッキを中央で合わせると、それぞれステッキの先にある星部分がメンバーカラーに輝きだし、画面いっぱいにキラキラが現れた。

僕は自撮り棒にスマホをつける。スマホに映る僕たち。

学園の中に入ると廊下でクラス人数分のノートを持っている女子がいる。そたくんが「外で待っていてね」と女子に伝えるとノートを代わりに持ち、職員室に向かい中に入っていく。すぐに出てきてそのままプリレボメンバーは歩き続ける。

歩いている時間、プリレボのメンバーたちはステッキを振り、校舎内の色を鮮やかにしていく。さりげなく綺麗な校舎内をたくさん映して学園をアピールしているシーンでもある。

次に教室でそれぞれ話をしたりふざけ合っている生徒たちを見つける。廊下からひょこっと顔を出すみずっきくんが「ダンスするからグラウンドに集合だよ!」と言い、聞いた生徒たちは明るい表情になりながら外に出ていく。

階段を上がり進む。ホウキを持って掃除をしている男子三人組が教室で掃除をしていた。僕は持っているスマホを、自撮り棒がついたままの状態でみずっきくんに渡す。撮影担当を代わってもらうと、ホウキを借りて掃除を手伝った。掃除が終わったら「外でダンスをします!」と男子に伝えた。

再び僕がスマホを持つ。今度は家庭科室で手芸をしている生徒たちに混ざり、ペンダント作りを手伝うしーおんくん。実は今生徒たちが作っていたペンダントはプリレボへのプレゼントだった。それぞれ生徒たちからペンダントをかけてもらうプリレボメンバー。「ありがとう」とお礼を言うと生徒たちは微笑みながら外へ行く。

「僕たち、先に準備しているね」と、みずっきくんが言うと、そたくん、しーおんくんはグラウンドに向かい走っていった。

 他の生徒たちはいないかな?と、確認しながら歩く僕とれんくん。

三階の音楽室に、賑わっているグラウンドを眺めている女子がひとりでいた。

女子の背後で目を合わせる僕とれんくん。「内緒だよ?」と人差し指を自分の口に置いたれんくん。僕がまだ持っていたホウキを持つと、女子に近づいて行った。そしてなんと、女子をホウキに乗せ、れんくんもホウキに乗り、三階の窓から出ていった。

 あわてて外を見下ろすと女子とれんくんはすでにみんなの輪の中に混ざっていた。

 途中で一回録画を停止すると、僕もグラウンドへ。

 三脚にスマホを乗せ、録画ボタンを再び押した僕は、すでに先頭に並んでいるプリレボメンバーの真ん中に立つ。そして後ろにならんでいる全校生徒と一緒に元気なダンスを踊った。

曲が終わる。

ラストに、あとから撮った青空の風景映像が流れた。

そして

『王ノ宮学園で僕たちは、宝物を見つけた。みんなも一緒に見つけませんか?』

と、僕のセリフと一緒に白い文字が浮かび上がり、プツンと映像は終わった。

……本来はこれで終わりだった。

 だけど曲の二周目が流れだし、どうしても使いたかった、頑張ってダンスの練習をしていたり、小道具作りなどをしている生徒たちの映像が流れる。そしてラストは、生徒たちにありがたいことにこっそり撮られていた、プリレボメンバー五人が手を繋ぎながらグラウンドを全力で走る映像で終わった。

「あぁ、プリレボは最高だし、青春は眩しいし……素敵すぎる学園プロモーション動画が仕上がったなぁ。本当に良かった!」なんて独り言を呟いていた時だった。

「いつきん、あれ、どういうこと?」

 背後からそたくんの低い声がした。おそるおそるふりむいた。

 あれとはどれだろう。動画長くしちゃったところかなぁ。だけどあれは相談もしたし、許可もきちんともらった。そたくんが作ってくれたセリフの宿題やらないで寝ちゃったことかなぁ……それとも……。

「これ、聞いてないんだけど?」

 そたくんはタブレットでとある動画を見せてきた。

「えっ、これって今日アップだったの? 僕たちの動画と日にち被っちゃった。僕たちの動画を一位にしたいのに……ごめんなさい」

「そういうことじゃなくて、なんでいつきんがルミナイの動画に出演しているの?って話だよ」

そう、実は僕たちプリレボのライバルであるダーク系騎士たち五人組アイドルグループ〝ルミナスムーンナイト〟の配信動画に最近出演していたのだ。

「あの、これには深い事情がありまして……」

 出演することになったのは、とあるきっかけがあった。僕はそたくんに説明をし始めた。

 日曜日、散歩をしている時だった。自動販売機の下を覗いている同じくらいの年齢の男子がいた。

 どうしたんだろう、お金落としちゃったりしたのかなぁ……と僕は心配になりバレないようにその様子を見守っていた。ずっとお金を取ろうとしているけれど、なかなか取れないっぽい。

 静かに近くに寄ると、気配を消しすぎたからか、まず驚かれた。それから「これ、使ったら取れるかもです」と、偶然持ち歩いていた自撮り棒を販売機の下に差し込んでみた。上手く先に引っかかり百円玉は救出された。

 その後に知った。彼が噂のルミナイメンバーのひとり、ショウ君だったことに。そして僕たちは風景を撮るのが趣味だという共通点が見つかり、意気投合し、ルミナイが今から動画配信用のロケに行くということで、なんとなくついていく流れになったのだ。

「という流れでして……」
「まぁ、いつきんらしい展開だね。でもせめて出演することについては教えてほしかったなぁ。驚いたよ」
「ごめんなさい。とりあえず、完成はまだ見ていないので、アップされている動画を確認してみます!」

 僕は大きいパソコンの画面で動画を流した。

 海で、夏や海に関係するものをテーマにしてジェスチャーゲームをする内容。一列に並び一番前の人が答えを見て後ろの人に順番に伝えていくゲーム。僕は主に真ん中の位置に配置され、かき氷やイカ、船を体全体を使い再現していた。僕の動きを見たルミナイのメンバーがちょこちょこ笑っているシーンもある。

ライバルだと思われているルミナイが、僕の動きがきっかけで笑っているのを確認すると少し嬉しくなった。

「まだ途中までしか見ていなかったけれど、いつきんの動き、面白いな。船だったのに、いつきんの所で急に船じゃなくなってる!」と言いながらちょっと怒り顔だったそたくんの表情は、いつの間にか柔らかく微笑んでいた。

 そたくんも僕の動きを見て、笑ってくれている――。

「あの、プリレボとルミナイ、コラボしてみたいです!」

 プリレボとルミナイはお互いにライバルだと思っている。良い反応は得られないだろうと思いながらも、僕はそたくんに伝えてみた。

 僕の言葉を聞くとそたくんは悩んだ表情になった。急に言われても困るよね?

「ルミナイのメンバーと交流して思ったのですが、コラボしたらお互いに前へ進めると思うんです。だからコラボしたいなと思いました」

「……コラボかぁ……いつきんのことだからきっと考えがあるんだろうし、みんなで集まって話し合おうか」

 そうして僕は、メンバー全員に気持ちを伝えることになった。

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