前世王子アイドルグループ~僕たちは君の一番星になりたい☆。.:*・゜
*主従関係の組み合わせ
「俺らがコラボって、何をするんだ?」
ルミナイのリーダー、アラシくんが僕に聞いてきた。
「あの、まだ具体的には決まっていないのですが、僕が……いや、ファンのみなさんが見たい!ということをしたいなと考えていまして」
僕はしーおんくんが発見してくれた騎士と王子の関係の話、新たなファン獲得の可能性の話を詳しく説明した。
「なるほどな、つまりライバルとしてではなくてこれからは協力していきたい、と」
「そうです、それです!」
「まぁ、悪くはないな。今は俺ら以外のグループもどんどん人気が出てきている。いつ抜かされていくかも分からない。まさにボーイズグループ戦国時代だ。俺らが協力することでライバルたちと差をつけることができるし、俺たちが上へ駆け上がることができれば業界全体を盛り上げることもできる……」
そたくんも似たようなことを言っていた気がする。アラシくんもそこまで考えているんだ……さすがリーダーたちだなぁ。僕はそたくんとアラシくんを尊敬の眼差しで交互に見つめた。
腕を組み、しばらく考え込んでいる様子のアラシくん。
「アラシくんは、この企画、どうでしょうかね?」
「でも、この中で、俺と一緒に何かをやるのが嫌だと思う人もいるんじゃないか?」
アラシくんはそたくんをじっと見た。無言で見返すそたくん。
そうだった! ふたりは今喧嘩中だった。
「いや、活動とプライベートは割り切れるから、プリレボのためになるなら余裕で平気だけど?」
そたくんは笑顔を見せたものの、目が笑っていない。イライラを隠しきれていないような微笑み……怖い。
だけどここで恐れてはダメだ!
「じ、じゃあ、内容はまだ決まっていないですが、コラボしても良いかも!って方は、お手を挙げていただいてもよろしいでしょうか?」
みんなが手を挙げてくれないと、この企画は成立しない。ひとりでも抜けると企画を考えた意味がなくなる気がする。だって、プリレボもルミナイも誰ひとり欠けてはいけない、ひとりひとりが大切な存在のグループだから。
緊張しながら上目遣いでみんなをひとりひとり見る。
パラパラと手が上がっていく。
そたくん以外のみんなが手を上げてくれた!
そしてラストに「まぁ、プリレボにとってはプラスになることだからな」と呟きながらそたくんも手を挙げてくれた!!
「はい! 決定です! コラボ決定です!!」
僕は立ち上がりながら叫んだ。
「ははは、いつきん声大きい! すごく嬉しそうだね!」
「はい、しーおんくん。とても嬉しいです!」
そして無事にみんなが賛成してくれて、プリレボとルミナイのコラボが決定された。
――あぁ、歴史的瞬間! アイドル世界の革命が起こりそう!!
*
「具体的に何をするかだよなぁ。何か意見ある人!」
アラシくんが仕切り、話し合いは始まった。
「それぞれのグループの良いところを取り入れ、企画を考えれば良いと思う」
最初に意見を言ったのは、ルミナイのメガネをかけた頭の良い騎士、タケルくんだった。
「そうだよね。ルミナイの良いところは……配信動画の楽しいゲームや企画を考えたり、歌う時やダンスをする時はクールキャラなのに、人を笑わせたりするのが上手なところ。あとは前世が騎士だからか、失敗を恐れないで前に進んでいくし、周りの人たちを守るから、安心してついていけると思えることかな?」
「しーおんくん、ルミナイの良いところをたくさん言ってくれて、ありがとう。プリレボの良いところは、歌やダンス、お芝居が上手くて実力があるところかな。そしてどのグループよりもキラキラしていて、いるだけで光を放ち周りを明るい気持ちにしてくれるところだな。あとはどこからどうみても王子だ」
「タケルくんもプリレボの良いところ見つけてくれて、ありがとう」
しーおんくんとタケルくんが尊い会話をしている間、僕は妄想する。このふたり、王子と王子をお守りする騎士という主従関係がお似合い――。
他のメンバーたちの尊い組み合わせも勝手に頭の中で組み合わされていく。まるで覚醒したように。
「じゃあ、歌やダンス、芝居を取り入れつつプリレボとルミナイが対決するゲーム企画を考えれば良い感じか?」
「ち、ちょっと待ってください」
僕はまとめようとしていたアラシくんの言葉を止めた。誰も言葉を発しなくなり、沈黙が部屋に流れる。
「いつきん、何か意見があるの?」
沈黙を破ってくれたのはそたくんだった。
「僕を含めたファンは、見たいはずです! プリレボとルミナイの、王子と王子をお守りする騎士の主従関係がっ!」
見たいはずと決めつけてしまった。ちょっと強く言いすぎたかな?
「主従関係! 楽しそう。どんな感じになるの?」
質問しながらみずっきくんが目を輝かせる。
「はい、衣装はそれぞれの王子の前世をイメージした衣装を新しく制作したいと思います。騎士も主従関係となった王子に衣装を合わせます。そして組み合わせですが、まずはしーおんくんとタケルくんが主従関係になります」
「俺としーおんくんか。平和な関係になりそうだな。しーおんくんを守るために深いところまで俺は戦略を練っていく」
「タケルくんが守ってくれるのか。頭良いから頼れる感じだね。よろしくね!」
しーおんくんとタケルくんは微笑み合った。ふたりの微笑みを見ていたら僕も嬉しくなるなぁ!
「ねえねえ、いつきん。僕は誰と一緒?」
みずっきくんが顔をぐいっと前に出してきた。
「では、考えた組み合わせを続けて発表していきます! みずっきくんは、ショウくんと一緒です!」
「やったぁ! ショウくんふわふわしてて優しそうだから嬉しいな! よろしくね!」
「うん。こちらこそよろしく!」
ショウくんは立ち上がると、みずっきくんの後ろに立つ。そして「みずっき王子をお守りいたします!」と片手を自分の胸に当て、突然お芝居を始めた。
わあわあ、素敵すぎてずっと見ていたい風景だ。ふたりもお似合いすぎる!
「続いての組み合わせは、れんくんとハヤトくんです!」
れんくんは無言でハヤトくんを見つめる。
「れんかぁ、身長一番高い同士で似合いそうやなぁ! れん王子、よろしくな!」
「あぁ、よろしく」
「れんは、中華系の王子だよな? 俺も中華系の衣装着てみたかったんや! 衣装お揃い感あるやつ作ってもらうんや。きっと俺たち、主従関係というよりもカッコよすぎるバディみたいになるで!」
あっ、れんくん、今、ふふって笑ってくれた。
れんくんの笑顔を見ると安心した。このふたりの組み合わせは見た目が似合うのも理由であるけれど、歌やダンスの時はクールだけど普段はこうやって明るいハヤトくんと人間関係不器用だけど本当は優しいれんくんの相性が良さそうだなって、ふたりが一緒にいる姿を妄想して眺めていたくなる関係になりそうだなと考え、このふたりにした。
さて、次はどっちの組み合わせを発表しようかな? 揉めない方にしよう。そして必然的に残りのふたりが組み合わせとなる。そっちはちょっとプンプンされそうだなぁ。
「僕の相手は、ヤマトくんです! よろしくお願いします!」
「俺はいつきんくんとかぁ。よろしくね! でも何で俺と?」
「あ、あの……もちろん相性が良さそうとも分析したのですが、実はヤマトくんは和装が似合いそうだなぁと思って、一緒に和装してほしくって」
「何それ!? 可愛い理由だな!」
可愛いとヤマトくんに言われて僕は照れた。
「あ、あと、不器用な僕を支えてくれそうだなって思ってます!」
「そう思ってくれてたんだ、ありがとね」
僕たちもいい感じで良かったな!
「じゃあ、俺の相手はそたか?」
アラシくんの表情はいつもと変わらなかったけれど、そたくんは眉をしかめて口をへの字にしていた。あきらかに嫌だと分かるような表情だ。
アラシくんはしばらくそたくんの顔を見つめたあと、「話し合いは休憩だ」と言いながら部屋から出ていってしまった。
そうだよね、そんな態度とられたら僕だって部屋から出たくもなるよなぁ。部屋の中はしんとして、誰も話そうとはしない。
しばらくしてもアラシくんは帰ってこないし。はぁ、組み合わせ変えた方がいいかなぁ……。
と、思っていた時だった!
アラシくんが戻ってきた。買い物袋を持って。そして袋からバニラアイスのカップを出すと、お店でもらったと思われるスプーンを乗せながら全員に配っていく。最後にはそたくんにも配った。
「そた、あの時は悪かったな。ムッとして力任せにカップのアイスを奪ってしまって」
「……別にもう、どうでも良いし」
そう言いながらもそたくんはプイっとアラシくんとは逆の方を向いた。
あの時というのは、イベントが一緒になった時にケータリングのカップアイスが残りひとつしかなくて、どっちが食べるかで揉めた話のことかな。そのアイスの行方が気になっていたけれど、結局アラシくんが食べていたのかぁ。
アラシくんはそたくんのアイスのフタを開けだした。そして……無理やり一口そたくんの口の中に、入れた!!
「本当に、ごめんって。美味しいか?」
「……美味しくない」
そう言いながらそたくんはアラシくんからスプーンを奪うと勢いよく食べて、誰よりも早く完食した。
「仕方ないなぁ、俺のも食べな?」
「いらない!」
そたくんの言葉を無視して、そたくんに自分のアイスも渡したアラシくん。
「じゃあ返して?」
「……嫌だ。絶対に返さない!」
そたくんがアイスのカップを強く握るとアラシくんはフッと笑い、ハヤトくんの方へ歩いていった。
「おい、ハヤト~、半分ちょうだい!」
「嫌や、なんで俺なんよ~」
「じゃあ、ショウ、一口で良いから……」
「いいよ~!」
ルミナイのメンバーからアイスをもらおうとしているアラシくんをしばらく眺めていたあと、ふと、そたくんの顔をチラッと見た。
口元だけで分かりづらかったけれど、わずかに微笑んでいた。そして「美味しい」と小声で呟いていた!
――こ、これは! 意地っ張りそたくん?
初めて見た光景に感動した。
アラシくん効果で新しいそたくんを知れた。
プリレボのメンバーは誰もそたくんには敵わないから、そたくんが強引にまるめこまれる?ことはない。
プリレボ内のそたくんは絶対にメンバーのアイスは奪って食べたりはしない。どっちかと言うと、お兄ちゃんタイプだから、メンバーにあげたくなるタイプ。
正直、そたくんとアラシくんは余った者同士で組み合わせた。だけど、実は一番、将来の可能性?を秘めているのかもしれない。
僕は勝利を感じ、ひっそりと手をぐっと握った。
★組み合わせはまとめるとこうなった。
そた×アラシ
しーおん×タケル
いつきん×ヤマト
れん×ハヤト
みずっき×ショウ
「みんなアイス食べ終えたね。王子と騎士の組み合わせはこれが一番だと思うから、これで決定しても良いと思う。次は、やる内容を詳しく決めていこう!」
機嫌が良くなったそたくんがそう言った。そたくんはこの組み合わせを認めてくれたんだ――。
「内容、思いつきました!」
僕は手を挙げた。実はそたくんとアラシくんの尊い関係を眺めた時に、ふと、洞窟内にふたりがいる風景を想像して、とあるアイデアを思いついたのだ。
ルミナイのリーダー、アラシくんが僕に聞いてきた。
「あの、まだ具体的には決まっていないのですが、僕が……いや、ファンのみなさんが見たい!ということをしたいなと考えていまして」
僕はしーおんくんが発見してくれた騎士と王子の関係の話、新たなファン獲得の可能性の話を詳しく説明した。
「なるほどな、つまりライバルとしてではなくてこれからは協力していきたい、と」
「そうです、それです!」
「まぁ、悪くはないな。今は俺ら以外のグループもどんどん人気が出てきている。いつ抜かされていくかも分からない。まさにボーイズグループ戦国時代だ。俺らが協力することでライバルたちと差をつけることができるし、俺たちが上へ駆け上がることができれば業界全体を盛り上げることもできる……」
そたくんも似たようなことを言っていた気がする。アラシくんもそこまで考えているんだ……さすがリーダーたちだなぁ。僕はそたくんとアラシくんを尊敬の眼差しで交互に見つめた。
腕を組み、しばらく考え込んでいる様子のアラシくん。
「アラシくんは、この企画、どうでしょうかね?」
「でも、この中で、俺と一緒に何かをやるのが嫌だと思う人もいるんじゃないか?」
アラシくんはそたくんをじっと見た。無言で見返すそたくん。
そうだった! ふたりは今喧嘩中だった。
「いや、活動とプライベートは割り切れるから、プリレボのためになるなら余裕で平気だけど?」
そたくんは笑顔を見せたものの、目が笑っていない。イライラを隠しきれていないような微笑み……怖い。
だけどここで恐れてはダメだ!
「じ、じゃあ、内容はまだ決まっていないですが、コラボしても良いかも!って方は、お手を挙げていただいてもよろしいでしょうか?」
みんなが手を挙げてくれないと、この企画は成立しない。ひとりでも抜けると企画を考えた意味がなくなる気がする。だって、プリレボもルミナイも誰ひとり欠けてはいけない、ひとりひとりが大切な存在のグループだから。
緊張しながら上目遣いでみんなをひとりひとり見る。
パラパラと手が上がっていく。
そたくん以外のみんなが手を上げてくれた!
そしてラストに「まぁ、プリレボにとってはプラスになることだからな」と呟きながらそたくんも手を挙げてくれた!!
「はい! 決定です! コラボ決定です!!」
僕は立ち上がりながら叫んだ。
「ははは、いつきん声大きい! すごく嬉しそうだね!」
「はい、しーおんくん。とても嬉しいです!」
そして無事にみんなが賛成してくれて、プリレボとルミナイのコラボが決定された。
――あぁ、歴史的瞬間! アイドル世界の革命が起こりそう!!
*
「具体的に何をするかだよなぁ。何か意見ある人!」
アラシくんが仕切り、話し合いは始まった。
「それぞれのグループの良いところを取り入れ、企画を考えれば良いと思う」
最初に意見を言ったのは、ルミナイのメガネをかけた頭の良い騎士、タケルくんだった。
「そうだよね。ルミナイの良いところは……配信動画の楽しいゲームや企画を考えたり、歌う時やダンスをする時はクールキャラなのに、人を笑わせたりするのが上手なところ。あとは前世が騎士だからか、失敗を恐れないで前に進んでいくし、周りの人たちを守るから、安心してついていけると思えることかな?」
「しーおんくん、ルミナイの良いところをたくさん言ってくれて、ありがとう。プリレボの良いところは、歌やダンス、お芝居が上手くて実力があるところかな。そしてどのグループよりもキラキラしていて、いるだけで光を放ち周りを明るい気持ちにしてくれるところだな。あとはどこからどうみても王子だ」
「タケルくんもプリレボの良いところ見つけてくれて、ありがとう」
しーおんくんとタケルくんが尊い会話をしている間、僕は妄想する。このふたり、王子と王子をお守りする騎士という主従関係がお似合い――。
他のメンバーたちの尊い組み合わせも勝手に頭の中で組み合わされていく。まるで覚醒したように。
「じゃあ、歌やダンス、芝居を取り入れつつプリレボとルミナイが対決するゲーム企画を考えれば良い感じか?」
「ち、ちょっと待ってください」
僕はまとめようとしていたアラシくんの言葉を止めた。誰も言葉を発しなくなり、沈黙が部屋に流れる。
「いつきん、何か意見があるの?」
沈黙を破ってくれたのはそたくんだった。
「僕を含めたファンは、見たいはずです! プリレボとルミナイの、王子と王子をお守りする騎士の主従関係がっ!」
見たいはずと決めつけてしまった。ちょっと強く言いすぎたかな?
「主従関係! 楽しそう。どんな感じになるの?」
質問しながらみずっきくんが目を輝かせる。
「はい、衣装はそれぞれの王子の前世をイメージした衣装を新しく制作したいと思います。騎士も主従関係となった王子に衣装を合わせます。そして組み合わせですが、まずはしーおんくんとタケルくんが主従関係になります」
「俺としーおんくんか。平和な関係になりそうだな。しーおんくんを守るために深いところまで俺は戦略を練っていく」
「タケルくんが守ってくれるのか。頭良いから頼れる感じだね。よろしくね!」
しーおんくんとタケルくんは微笑み合った。ふたりの微笑みを見ていたら僕も嬉しくなるなぁ!
「ねえねえ、いつきん。僕は誰と一緒?」
みずっきくんが顔をぐいっと前に出してきた。
「では、考えた組み合わせを続けて発表していきます! みずっきくんは、ショウくんと一緒です!」
「やったぁ! ショウくんふわふわしてて優しそうだから嬉しいな! よろしくね!」
「うん。こちらこそよろしく!」
ショウくんは立ち上がると、みずっきくんの後ろに立つ。そして「みずっき王子をお守りいたします!」と片手を自分の胸に当て、突然お芝居を始めた。
わあわあ、素敵すぎてずっと見ていたい風景だ。ふたりもお似合いすぎる!
「続いての組み合わせは、れんくんとハヤトくんです!」
れんくんは無言でハヤトくんを見つめる。
「れんかぁ、身長一番高い同士で似合いそうやなぁ! れん王子、よろしくな!」
「あぁ、よろしく」
「れんは、中華系の王子だよな? 俺も中華系の衣装着てみたかったんや! 衣装お揃い感あるやつ作ってもらうんや。きっと俺たち、主従関係というよりもカッコよすぎるバディみたいになるで!」
あっ、れんくん、今、ふふって笑ってくれた。
れんくんの笑顔を見ると安心した。このふたりの組み合わせは見た目が似合うのも理由であるけれど、歌やダンスの時はクールだけど普段はこうやって明るいハヤトくんと人間関係不器用だけど本当は優しいれんくんの相性が良さそうだなって、ふたりが一緒にいる姿を妄想して眺めていたくなる関係になりそうだなと考え、このふたりにした。
さて、次はどっちの組み合わせを発表しようかな? 揉めない方にしよう。そして必然的に残りのふたりが組み合わせとなる。そっちはちょっとプンプンされそうだなぁ。
「僕の相手は、ヤマトくんです! よろしくお願いします!」
「俺はいつきんくんとかぁ。よろしくね! でも何で俺と?」
「あ、あの……もちろん相性が良さそうとも分析したのですが、実はヤマトくんは和装が似合いそうだなぁと思って、一緒に和装してほしくって」
「何それ!? 可愛い理由だな!」
可愛いとヤマトくんに言われて僕は照れた。
「あ、あと、不器用な僕を支えてくれそうだなって思ってます!」
「そう思ってくれてたんだ、ありがとね」
僕たちもいい感じで良かったな!
「じゃあ、俺の相手はそたか?」
アラシくんの表情はいつもと変わらなかったけれど、そたくんは眉をしかめて口をへの字にしていた。あきらかに嫌だと分かるような表情だ。
アラシくんはしばらくそたくんの顔を見つめたあと、「話し合いは休憩だ」と言いながら部屋から出ていってしまった。
そうだよね、そんな態度とられたら僕だって部屋から出たくもなるよなぁ。部屋の中はしんとして、誰も話そうとはしない。
しばらくしてもアラシくんは帰ってこないし。はぁ、組み合わせ変えた方がいいかなぁ……。
と、思っていた時だった!
アラシくんが戻ってきた。買い物袋を持って。そして袋からバニラアイスのカップを出すと、お店でもらったと思われるスプーンを乗せながら全員に配っていく。最後にはそたくんにも配った。
「そた、あの時は悪かったな。ムッとして力任せにカップのアイスを奪ってしまって」
「……別にもう、どうでも良いし」
そう言いながらもそたくんはプイっとアラシくんとは逆の方を向いた。
あの時というのは、イベントが一緒になった時にケータリングのカップアイスが残りひとつしかなくて、どっちが食べるかで揉めた話のことかな。そのアイスの行方が気になっていたけれど、結局アラシくんが食べていたのかぁ。
アラシくんはそたくんのアイスのフタを開けだした。そして……無理やり一口そたくんの口の中に、入れた!!
「本当に、ごめんって。美味しいか?」
「……美味しくない」
そう言いながらそたくんはアラシくんからスプーンを奪うと勢いよく食べて、誰よりも早く完食した。
「仕方ないなぁ、俺のも食べな?」
「いらない!」
そたくんの言葉を無視して、そたくんに自分のアイスも渡したアラシくん。
「じゃあ返して?」
「……嫌だ。絶対に返さない!」
そたくんがアイスのカップを強く握るとアラシくんはフッと笑い、ハヤトくんの方へ歩いていった。
「おい、ハヤト~、半分ちょうだい!」
「嫌や、なんで俺なんよ~」
「じゃあ、ショウ、一口で良いから……」
「いいよ~!」
ルミナイのメンバーからアイスをもらおうとしているアラシくんをしばらく眺めていたあと、ふと、そたくんの顔をチラッと見た。
口元だけで分かりづらかったけれど、わずかに微笑んでいた。そして「美味しい」と小声で呟いていた!
――こ、これは! 意地っ張りそたくん?
初めて見た光景に感動した。
アラシくん効果で新しいそたくんを知れた。
プリレボのメンバーは誰もそたくんには敵わないから、そたくんが強引にまるめこまれる?ことはない。
プリレボ内のそたくんは絶対にメンバーのアイスは奪って食べたりはしない。どっちかと言うと、お兄ちゃんタイプだから、メンバーにあげたくなるタイプ。
正直、そたくんとアラシくんは余った者同士で組み合わせた。だけど、実は一番、将来の可能性?を秘めているのかもしれない。
僕は勝利を感じ、ひっそりと手をぐっと握った。
★組み合わせはまとめるとこうなった。
そた×アラシ
しーおん×タケル
いつきん×ヤマト
れん×ハヤト
みずっき×ショウ
「みんなアイス食べ終えたね。王子と騎士の組み合わせはこれが一番だと思うから、これで決定しても良いと思う。次は、やる内容を詳しく決めていこう!」
機嫌が良くなったそたくんがそう言った。そたくんはこの組み合わせを認めてくれたんだ――。
「内容、思いつきました!」
僕は手を挙げた。実はそたくんとアラシくんの尊い関係を眺めた時に、ふと、洞窟内にふたりがいる風景を想像して、とあるアイデアを思いついたのだ。