前世王子アイドルグループ~僕たちは君の一番星になりたい☆。.:*・゜

*放送部

 入学してから少し経った日。

「みんな、おはよう! 今日は四月十九日の月曜日。本日の担当は黄木颯太(おうきそた)だよ。今日は健康診断だね! そんな日には、みんなに僕の秘密を教えちゃおうかな? 普段努力を周りに見せるのが苦手な僕だけど……小さい声で伝えるから静かにして聞いてね、その秘密とはね……」

 今、僕は放送室にそたくんとふたりきり。僕は美しい彼の声を真剣に聞いていた。背筋を伸ばしマイクの前に向かうキラキラなそたくんと、部屋の隅に縮こまりながら座っている地味な僕。周りから見たら、正反対なふたりだろう。今そたくんの声が小さくなったので、僕は座りながらもなになに?と興味いっぱいな気持ちで顔を微妙に前へ出す。

「最近、住んでいるお城の中にケンスイバーを置いたんだ。あっ、筋肉トレーニングのためにぶらさがる器具だよ。背の高い鉄棒みたいな感じの。それに毎日ぶら下がっているんだ。いい感じに鍛えられているよ!というわけで、今朝は曇り空ですが、君たちに光を届けるね……えいっ! 光が届いたかな? この放送を聞いている全ての子たちが全員、明るく元気に過ごせますように!」

 そたくんは話を終えるとマイクをオフにした。
 僕はそたくんがケンスイバーというものでぶら下がっている姿を想像してみた。

「はぁ、ぶら下がっている姿もカッコいいな……」
「何? 僕のこと?」
「あっ、はい。そうです」

「はは! ありがとう! いつきん、僕のお城に近いうち招待するよ。一緒にぶら下がろうよ」

 そたくんはシャツの袖をまくると腕の筋肉をアピールする仕草をした。

そたくんにあだ名で呼ばれるのはまだ慣れていなくて、ドキリとする。というか、本当にそたくんのお城に行った想像をするだけで、心がざわめく。というか、そたくんと目が合うだけで、かっこよさに目が奪われてドキドキしてしまう。

「どう? いつきんも、そろそろ放送デビュー出来そう?」
「いえ、僕はずっと裏で支える役でよいです。その方が学校全体も引き締まりそうだし……」
「あぁ、もったいないなぁ」

 もったいない?

 いったいどんな意味がその言葉に込められているのだろう。きっとしばらく、そたくんのその言葉が頭の中でぐるぐるとする気がする。

「ところでさ、いつきんは僕たちと共に過ごす放送部員として何か放送したいとか生徒たちに見せたいアイディアはないの?」

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