ガラスの告白
 時男はその言葉に、改めて自分自身も学生生活が終わったのだと、実感するのでした。
 これからは仕事に励み、目の前にいる母を助けてあげられる。そんな心の希望が力となり、心に刺さる杭が今抜け落ちた気分でした。

 しかしながら再婚相手が現れないと保証はありません。ただ大人になり何事にも向き合い対抗していけるのではないかと、そんな根拠のない勇気が湧き上がっていたのでした。

 時男から、最近では見せることなかった、笑顔が溢れました。

「ありがとう」

 時男が期待以上の喜びを見せたことに、母親は愛おしくなりました。
 腕に手を当てさすり、本当に良かったと、うったいかけていました。

 母親も滲み出る喜びを実感しながらも、先ほどまで時男が向けていた視線の先を気にしていました。
 大勢に紛れる中、何処と無く孤立し。何処となく他の生徒たちと喜びが混じり合っていない三人を、母親は感じ取った様子です。

 向けた視線は考えるように、それに気づいた時男を心配にさせていました。
 母親は笑みを見せ語ります。

「時男のお友達」

「うん」

「なら、お母さんも挨拶しに行こうかしら」
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