ガラスの告白
 卒業式当日。
 昨日まで日差しのある日々が続いていましたが、この日はあいにくの曇り空でした。

 式が終わり皆が校庭に集まり声を掛け合うなかを、流れ吹く冷たい風は、微かな砂埃を混ぜながら、卒業生の胸につけた白く咲くコサージュを揺らしています。 

 周りを見渡すと、目についた渡辺は友人らと詰まり写真を撮り、要も、女友達とお互いを称え合っうように腕に手を添え、涙を流していました。

 遠目には少女のもとに、祖父と母親が訪れ話しているようでした。少女は手にした卒業証を、抱えるように持っています。
 わずかな間でしたが、学校にも登校できたのです。

 告白され内容を知る時男は、少女が今こうして卒業できたことを心の中で喜んでいました。
 時男はその光景のなか、来てくれているはずの母親を探していました。

「時男」

 声がかかり振り向くと、母親も時男のことを探してくれていました。
 日常束ねた髪の毛も下し、礼装姿には、丸く型どったブローチの装飾品もつけています。

 普段と違い着飾るその容姿からも、喜びが滲み出ているようでした。
 お互いが歩き寄ると、母親はお祝いの言葉をかけてくれます。

「卒業、おめでとう」
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