ガラスの告白
 お互いの親族から注目されながらも、時男は小さな緊張を持ち言葉をかけます。

「美容院に行ったの?」

「ううん。お母さんに切ってもらって」

 現在、母親がどのような職業に勤めているかなど、話すことはありませんでしたが、時男は頭の中でも、追求することはしませんでした。

 きっと美容関係に勤め、その技術で少女を喜ばせたのだろうと、想像を膨らませていました。
 しばらく子供たちの会話に耳を向け笑顔を見せていた母親達でしたが、次第に世間話に変わり話し込んでいました。
 少女は話し込む母親達をよそに、時男にお願いをしていました。

「ねえ、萩原くん。もう一度教室に行かない」

「えっ、何か忘れ物したの」

「うん。最後の」

「最後の?」

 少女は大人同士の談笑に、割り込む大きな声で言葉をかけました。

「お母さん。萩原くんと、教室に行ってくるから、ちょっと、待っていて」

 少女の子供らしい、わがままな言葉に、母親は困惑しています。

「すぐ戻るから、萩原くん行こう」
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