ガラスの告白
「ありがとう。秀ちゃん。君がいてくれたから、僕は学生生活を送ることができたんだ。秀ちゃんの存在は僕にとって、大切なことだから」

 時男の言葉を聞き、渡辺は立ち尽くしたまま、溢れる涙を止められずにいました。
 
 あれから幾度の春が訪れるたび、時男はガラスの少女のことを思い出します。

 少女が何も言わずに町を去ったのは、、伝えられなかった告白を、まだ隠し持っていたのでは無いかと、そんな考えが、ふと頭をよぎります。

 あの鳥居が多く並ぶ神社の前を通り、桜咲く季節にもなると、見せてあげたかったと悔やむこともありました。
 遠くに見えた男女の高校生が、桜を見入るように黄昏ています。

 肩が振れるほど寄り添う光景が見えますと、時男は安心します。
 ガラスの告白は壊れることなく、相手に届いたのだろうと、願うように思うのでした。

 終わり
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