ガラスの告白
 前を横切る時男は、周りと打ち解けられる渡辺を、羨ましいと眺めてしまいます。
 あの輪の中に入り、同じように友人らと仲良くなることができたとしても、過去を噂されその幸せが消えることを恐れることを考えました。


 いえ、もうすでに知らないところで、噂されているかもしれません。
 時男は自身の気持ちを殺すように諦め、教室に入っていきます。
 渡辺は向けられた視線に気づくと、表情から微笑みは消え時男のことを目で追っていました。


 会話の中、一人の生徒が渡辺の肩に腕を回すと、それを嫌がるように払い除け、何処か寂しげに時男を見つめていました。
 心の思いが表情に出ていたのか、どのように目に写っていたのか、時男にはその時は考えることはできませんでした。


 それ以来、学校の廊下で顔を合わせても気まずそうに、時男も顔色を伺うようになり、最近では自然に接することは出来なくなっていました。


 そんな考えも伝わることはなく、渡辺の母親は親しみのある言葉をかけています。

「一緒に送っていくから」

 突然の誘いに、渡辺の表情に視線を向けました。
 渡辺は目線を合わせることなく、乗んなよっと、頷きで合図している様です。
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