ガラスの告白
 誰も何もない校庭。
 そこには給食センターのトラック一台だけが、停車していました。
 その中を歩く姿は、誰の目にも目立っています。


 白い花たちの中に一輪、赤い花が咲いているように、目を向けた者は気づいて当然でありました。
 遠巻きにその姿は、クラスメートの渡辺と、従姉妹(いとこ)にあたる要(カナメ)。そして要のクラスメートの女生徒に目撃されてしまいます。


 体育館に向かう石廊下から、二人の歩く姿を目撃していたのでした。
 三人の足取りは、止めるように遅くなり、下校する二人を見つめていました。
 要と同じクラスの女生徒は、その一人が時男だと気づくと、少し驚き、おもむろに指を差しました。

「ねえ。あれ、萩原と……」

 渡辺と要は、時男と校庭を歩く少女が、すぐに誰であるのか把握できてました。
 昨日の体育授業のことを知る渡辺と、その内容を聞かされていた要には、二人歩く姿が親密であると思わせ沈黙してしまいます。
 女生徒は初めて見かける少女を確認するため、渡辺にたづねていました。

「あの子が、渡辺のクラスにきたっていう転校生? 何で萩原といるんだろう」

 渡辺は、要を気にしながら「うん」と、気まずそうに小さな返事をします。
 要は、校庭を歩く二人を見つめたまま、無言で渡辺の返事を聞いていました。
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