ガラスの告白
 未だその姿はガラスのように固く繊細に見えてましたが、そのことを忘れてしまうほど、普通のように接していました。

 むしろ映る仕草や姿が、ガラスであることで、美しく捉えていたのでした。
 このまま仲良くなれたらいいなどと、感情を募らせます。

(何かもっと会話を続け、彼女を楽しまそう)

 時男は歩きながら、焦りながらも言葉を探していました。
 ですが気のきいた話題も見つからず、ごく当たり前のような言葉しか見つかりませんでした。

「住まいはどの辺? こっちの方?」

「えっ」

 何気ない質問でありましたが、少女は少し動揺をみせます。それはっと考え込むように、言葉を止めてしまいます。
 時男は聞いてはいけない質問だったと後悔すると、別の質問を考え話そうとしました。

「えーとっ、あの……」

 短い困惑する言葉の間を、歩き続ける足元から残り少ない雪と、砂利道のギシッギシッと鳴る、踏みしめられる音だけが聞こえていました。
 少女から、間隔をあけた言葉が帰ってきました。

「それは……ないしょ……かな?」

 少女の答え方は、誤魔化したいと物語るようで、体の真に染み渡る様でした。
 時男も自身の失態を、笑うかのように呟やきました。
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