ガラスの告白
「そうかっ……内緒……だよね」

「そう。内緒」

 少女の小い声色は、少し明るくも装ったものに聞こえます。
 自身の事情のこともあり、それ以上の詮索は出来ないでいました。
 そうかっ、と顔を上げ、時男は気にしないと、うなずき表現します。

 少女の横顔からは、今度は無理につくろった笑顔を感じ、それが余韻(よいん)のように残っていました。
 時男は名前ならと、切り替え聞いていました。

「……名前を改めて聞きたいんだけど。ごめん。覚えられなくて」

 少女は信じられないと、驚く仕草で時男を見つめました。
 少女は時男の戸惑う態度に失笑すると、表情はすぐさま、意地悪なものに映ります。
 俯く時男に答えました。

「名前? フフ。それも内緒かな」

 少女はふざけるように笑顔を残し、時男から足早に離れていきます。
 時男は顔を上げると、困惑の表情で少女を見ていました。

「えっ、なんで内緒なの」

 時男はそれに追いつこうと足を進めながらも、少女のガラスの表情から、喜怒哀楽がわかるようで嬉しくなっていました。
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