ガラスの告白
 要は決心すると、力を込め、座るお尻をずらし近づきます。
 腕や肩が触れ合うと、時男の体は一瞬にして熱くなりました。
 自身に向けられた行為に、頭の中が混乱します。

 何故、近寄り座り直したのだろう。
 異性を感じる感触に、視線を逸らし、思わず運転手さんの背中を意識しました。

 運転手さんは、悪路に揺られながら大きなハンドルをゆっくり左右に切っています。
 乗車する二人のことも存在しないかのように、気に留めていない様子でした。

 要は自らの手を時男の手の上に添えますと、自身の顔を真っ赤に染め、一生懸命強がる人物を演じている様でした。

「私も友達からアドバイスをもらって 。お化粧だって習って頑張ってみたんだ。今日だって本当は、服装をこうした方が良い。スカートはもう少し丈が短い方が可愛いって言われたから」

 緊張からか、照れる事も微笑む事もない強張る表情には、眉毛が整えられ、うっすらとお化粧されていることがわかります。
 服装も見た目を重視するように、重ね着を控え、普段よりスカート丈も短く感じていました。

 そこには時男が知る妹のような少女ではなく、大人に成長した要が映っていました。
 下級生と居合わせたのは、要の言葉通り偶然だったのかっと理解しながらも、この行為はどの様な意味があるのか。

 添えられた手を意識します。
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