ガラスの告白
 転校してきて数日という短い期間でありましたが、知らないところで仲間の輪に加わっていることを知り、心が和んでいました。
 穏やかに立ち尽くす時男の横には、後から教室に入ってきた渡辺が現れ声をかけます。

「おはよう」

「えっあっ、おはよう」

 柔らかい言葉使いに考えてしまい、挨拶が一泊遅れます。
 見つめた渡辺はいつにも増して、清潔感があるように思われました。
 時男より小柄な印象が、服装からか普段よりもスマートな体格に映ります。


 厚手の上着も、薄手の物に変わり、白いシャツのボタンは、首元までしっかり閉めていました。
 何かが違うと意識しますと、少しばかり化粧水をつけたのでしょうか、綺麗な肌とわずかながらの甘い香り、そして右側の耳タブには、銀色の球の形をした耳飾りをつけています。


 本来なら知らないところで庇ってくれていた渡辺に、すぐにでも感謝の気持ちを伝えたいと考えていましたが、みんなのいる前で、あからさまにお礼を言うことが出来ず、もどかしい気持ちでいました。

 時男は印象に濃くひかる、耳飾りの話題にすり替えてしまいます。

「ピアスを開けたんだね」
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