ガラスの告白
 雑談が喜び合うクラス内では、どのような言葉をかけたかなど、聞こえることはなく、ただ少女は嬉しそうに「おはよう」っと口元が開いていたように感じました。

 軽い挨拶でしたが、少女は微笑み、席に向かう渡辺を目で追っていました。
 時男の胸に、些細な嫉妬と不安が込み上げてきました。

(冷静に考えれば、自分より渡辺と友達になりたかったのだろうか。渡辺の方が男前だし、お洒落で見た目も良いはず)

 毎日時間を作り会ってくれていたのは、代わりの様なもんではないかと、詮索してしまいます。
 自身が自身を苦しめると、声をかけて良いのか迷っていました。
 少女は渡辺を目で見送った後、一泊開けて振り返るように時男を確認していました。


 登校していたことをすでに気づいていたようで、表情は一段と微笑み、安心する気持ちが伝わる思いでした。
 少女の表情から、話しかけていいのだとわかると、わずかながら心が穏やかになっていました。
 言葉をかけようと席に近づくと、教室前方の解放された扉から担任教師の村上が、誰かを探すように顔を覗かせていました。


 なにやら神妙な趣で、担任の村上は生徒を障害物のように避け、少女の席を確認していました。
 村上は少女と視線が合うと、手まねきをし、近寄った少女に小声で用件を話します。
 少女は声に出していませんでしたが、驚いた表情で、村上を見つめました。 
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