ガラスの告白
 玄関の隙間から見える、薄暗い室内。姿の見えない老人の言葉が聞こえました。

「出かけるって、どこ行くんだよ。家に上がって貰えば」

「ううん。大丈夫。その辺だから、遠くに行かないから」

 少女は時男に顔を向けることなく、何かを考えるように背中を向け、玄関の扉をゆっくりと閉めました。

 向かった先は、その場所から数分とかからない、案養寺という名のお寺でした。
 周りには敷地を囲む柄も壁もない広い場所で、その日その時間の境内に誰も見えないことから、参道入り口付近で二人はいいと通じます。 


 低い石台には、六体のお地蔵様が向かい合う形で乗っています。その隣に座らせてもらおうと、椅子がわりに腰を下ろそうとしていました。

 時男は座るときも未だ、ガラスに見えなくなった少女を傷つけないよう意識していました。
 自身のマフラーを畳む形で石壁の上に敷き、少女をその上に座らせようとしていました。
 その行為に、少女は不思議がり沈黙のまま見入っていましたが、思わず笑いが吹き出し遠慮をしています。

「萩原君。そこまでしなくても」

 無意識なあまり、行動を断られたことにも、ああ、そうなんだっと、納得も遅れます。
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